生活習慣病/骨粗鬆症(骨粗しょう症)

骨粗しょう症の予防法・治療法

骨粗しょう症の予防と治療の目的は、骨折を予防することです。食事療法や運動療法もありますが、骨折の危険が大きい方には、早期から薬物療法が開始されます。

井上 真理子

執筆者:井上 真理子

医師 / 生活習慣病ガイド

骨粗しょう症の予防法・治療法

運動療法は日常生活の中でこまめに動くことを心がけるところから

運動療法は日常生活の中でこまめに動くことを心がけるところから

骨粗しょう症の予防と治療の目的は骨折を予防することですから、骨粗しょう症の患者さんだけでなく、「骨量減少」の状態でも骨折リスクの高い方には早期から薬による治療を開始します。具体的には、閉経後の女性、50歳以上の男性で、
  • 過度のアルコール摂取
  • 現在の喫煙
  • 大腿骨頸部骨折の家族歴
のいずれか1つを有する方に、積極的な予防法や治療法を行っていくことになります。ここでの「過度のアルコール」とは、1日量としてビール・発泡酒で350ml缶3本、日本酒では2合、ウイスキー・ブランデーですとダブル2杯以上に相当します。


骨粗しょう症予防の食事療法

効果的な食事療法として、カルシウム、ビタミンD、ビタミンKを多く含む食品を摂るようにします。食事療法は特に閉経前の女性で効果が期待できます。
  • カルシウムの多い食品…乳製品、小松菜、大豆製品、小魚、干しエビ など
  • ビタミンDの多い食品…きくらげ、サケ、ウナギ、秋刀魚、メカジキ など
  • ビタミンKの多い食品…卵、納豆、ホウレン草、小松菜、ブロッコリー など
     

骨粗しょう症予防の運動療法 

運動療法にも、骨量減少を予防する効果があります。特に中等度の運動の中でもウォーキングやランニングは効果的。日常生活の中で、エレベーターではなく、なるべく階段を使うなど、できるところから活動を増やしていくだけでも意味があります。

骨粗しょう症予防の薬物療法

骨粗しょう症の予防や治療でもっともよく処方されているのは「ビスフォスフォネート」という種類の薬です。骨吸収を阻害することで骨の代謝を改善し、骨密度を増加させる働きがあります。効果的な薬ですが、飲み方には注意が必要。
  • 朝起きた時にコップ1杯の水とともに薬を飲む
  • 薬を飲んでから、少なくとも30分は横にならず、飲食しない
という2点を守らなくてはなりません。このことを説明すると、多くの患者さんは不思議そうな顔をされるのですが、この薬は腸管からの吸収が悪く、食事をしてしまうとさらに吸収されにくくなってしまうためです。また、食道潰瘍や食道炎の副作用を起こすことがあるので、このような飲み方になっています。忙しい朝に煩わしいかもしれませんが、毎日ではなく週に1回だけ飲めばよい種類のものもありますので、日曜日などに決めて飲んでいる方もいらっしゃいます。

この他にも、閉経後比較的早期の女性には、骨に対してエストロゲン様作用を発揮する薬も多く使用されます。また、骨粗しょう症が原因の腰背部痛がある場合には、骨吸収抑制作用だけでなく鎮痛作用をもつ注射の薬があります。

ビタミンの薬などもありますが、個々の患者さんにあった組み合わせで処方されていますので、主治医からよく説明を受けるようにしてください。




1日の目安1000IUを1粒で摂取できるものも。
ビタミンDを含む主な市販サプリメントは
コチラから。
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