パニック障害は若い女性に多い疾患。多くの場合、最初の発作は晴天の霹靂で、前触れなく生じます
「パニック障害」はこのようなパニック発作を主症状とする心の病気です。パニック障害の特徴、原因、症状について詳しく解説します。
パニック障害の特徴・症状
パニック障害は若い女性に多い疾患で、一生の罹患率は1~4%。最初のパニック発作は通常、何の前触れもなく突然やってきます。症状の内容には個人差がありますが、以下のような症状が急速に出現し、10~15分持続します。- 動悸
- 胸が締めつけられるような痛み
- 手足の震え
- 顔面の紅潮
- 発汗
- 呼吸が苦しい
- 気が遠くなる
- 自分が周りから切り離されたような離人感
- 自分をコントロールできなくなるような恐怖感
- 死の恐怖
パニック発作自体は、パニック障害以外にもさまざまな状況で生じることがあります。例えば、アルコール依存症での飲酒中断時や甲状腺機能亢進時などでもパニック発作が生じることがあります。また、特定のモノに過剰な恐怖を感じた場合。例えば、ゴキブリ恐怖症の人が思いがけずゴキブリに遭遇してパニックになった場合、それは恐怖症の症状となります。
パニック障害の原因
パニック発作が生じる背景には、忙しい生活からくる精神的圧迫感や恋人とのトラブルなど何らかの心理的葛藤がある場合もありますが、最も大きい原因は生物学的要因です。普通なら恐怖反応が生じるはずがない状況で、あたかも海水浴場でジョーズに遭遇したかのような強烈な不安反応が起こってしまうのは、脳内の神経科学的環境に何らかの問題が生じているためです。具体的にはノルアドレナリン、セロトニンなど脳内神経伝達物質の働きに異常があり、ノルアドレナリン作動性の神経核である脳幹の青班核、セロトニン作動性の神経核である延髄の縫線核と呼ばれる部分に、何らかの問題が生じているためと言われています。
とはいえ、パニック発作の症状自体は、あたかも心筋梗塞が起きたようなもの。患者さん自身は心臓などに重大な問題があるのではないかと疑ってしまいます。症状の原因が身体的要因によらないことを確認することはとても重要ですが、症状の原因が脳にあるとはなかなか思いにくいようです。精神科を受診してパニック障害の治療を開始するのは、どうしても遅れてしまう傾向があります。
次ページではパニック障害の治療法について詳しく解説します。