肩こり/肩こりの原因・しくみ・肩こりに潜む病気

悪い姿勢が手指のしびれと肩こりを引き起こす?

肩こりと同時に、腕や手にしびれを感じることはありませんか?姿勢の変化に伴い、肘や手首にまで負担をかけているのかもしれません。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

しびれや痛みを感じたら早めに対処

生活に支障はなくても気持ちの悪さを感じる手・腕のしびれは早めに対処することが大切です

生活に支障はなくても気持ちの悪さを感じる手・腕のしびれは早めに対処することが大切です

首へ負担をかけ肩こりがある状態では、頚椎疾患以外でも腕や手にしびれや痛みが出る場合があります。肩こりの自覚症状がなくても、腕や手にしびれや痛みを感じるケースもあるのです。

症状を感じていてもそのまま様子をみてしまい、悪化させてしまったり回復を遅らせたりしてしまう人もいます。なるべく早めに対処しましょう。それでは、どのような疾患があるのでしょうか?

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)

■どのような疾患?
赤色の部分で神経が圧迫され緑色の部分に症状が出ます

赤色の部分で神経が圧迫され緑色の部分に症状が出ます

手首の手の平側にある、手根管という部位が問題になります。手の平を天井方向に向けた状態から、手前に手首を曲げた時に手首付近にシワが出来る部分があると思います。

手根管はシワの出来る辺りに位置し、この部分を通る神経が圧迫されることで症状が出てしまいます。この神経は正中神経(せいちゅうしんけい)という名称で、腕の付け根あたりから手に向かい、指を曲げる筋肉の腱と一緒に通っています。

「手根管」という神経と腱の通る管腔での炎症が、神経圧迫の原因となるのですが、さらに原因を探ると、糖尿病などの病気が背景にある場合の他に、手首に負担をかけるような姿勢での反復動作やホルモンバランスの関連が考えられます。個人差はありますが、不良姿勢や自律神経への影響で、肩こりを伴う人もいます。

■どんな症状?
正中神経が圧迫を受けても、全ての指に症状が出るわけではありません。特徴的な範囲に影響が出ます。症状が軽いうちは、手の使用を避けて安静にすることで悪化が防げますが、進行してしまうと手術を検討する場合もあります。

□指に触れた感覚がおかしい(感覚が弱っているなど)
□指のしびれ
・人差し指・中指の全部
・薬指・親指の半分 など
□夜中にしびれで目が覚める
□視覚親指のつけ根の筋肉に萎縮がみられる
□親指側の力が入りにくくなる

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

■どのような疾患?
つり革や手すりにつかまるなど、腕の位置で症状が出る場合があります

つり革や手すりにつかまるなど、腕の位置で症状が出る場合があります

首の付け根と胸部の境目辺りに、首から腕へ伸びる神経や血管が通る場所があります。その周辺は、頭や腕の位置や姿勢に影響されやすく、首、肩、胸などの筋肉が緊張することで、首から腕へ伸びる神経や血管を圧迫、牽引してしまうことがあります。

また、鎖骨や肋骨などの骨が圧迫に関わることもありますが、中には、首の骨自体の異常が原因となる場合もあります。このようなことで、様々な症状が出るようになります。

■どんな症状?
□肩こり・肩、首、腕の筋肉が緊張している
□手、指が冷たくなる
□手、腕のしびれ・だるさ
□重い荷物を手にさげる、電車でつり革につかまるなどの動作でしびれが出る

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)

■どのような疾患?
肘の問題で緑色の部分に症状が出ます

肘の問題で緑色の部分に症状が出ます

肘の内側に手先へつながる神経の通る肘部管というトンネルがあります。このトンネルを通る神経は尺骨神経(しゃっこつしんけい)という名称で、構造的にも、繰り返し動作などのストレスに弱い部分です。何かの原因で、このトンネル部分で尺骨神経が圧迫、牽引をされると、手に症状があらわれます。

肘への負担を避けても症状が重い場合は、手術が必要になる恐れがあります。肘の関節が酷使されたり、負担のかかるようなことが原因の場合は、肩こりを伴う場合があります。

■どんな症状?
□初期症状は、小指・薬指の一部のしびれ
□小指側の腕のしびれ
□肘の痛み
□悪化すると、手の筋肉がやせてしまう
□小指・薬指がまっすぐに伸びない
□握力が低下する


手や腕にしびれ・痛みの出る疾患についてご紹介しましたが、症状が似ていても原因部位が違うため、自己判断が難しいと思います。ひどく悪い状態にならなければ、手術をしなくても保存療法で改善することが多いのです。症状がある時は我慢して放置せず、整形外科を受診しましょう。


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