点滴がメインとなる腎盂腎炎(じんうじんえん)の治療法

入院治療で安静と保温、水分補給などに努める

腎盂腎炎の場合、基本的に入院治療で安静と保温、水分補給などに努める

腎盂腎炎は高熱、痛み、倦怠感、食欲不振といった全身症状が強いのが特徴。通常は菌血症を起こしているので、きちんと処置しないと敗血症になる恐れがあります。

そのため、治療は基本的に入院治療で行われます。元気で食欲もあるという場合には通院治療も可能ですが、安全性を重視するため、腎盂腎炎と診断されたら入院治療を勧められることが多いです。

腎盂腎炎の治療の原則は点滴。その主な理由は以下の2つです。

■尿をしっかり出すため
食事や水分摂取不足、発熱などの全身症状に伴い脱水状態になっていることが多いため、十分な水分補給は必要不可欠。水分をたくさん取れば尿量が多くなるので、細菌を洗い流す効果も。

■抗生物質を投与するため
発熱を伴わない膀胱炎なら内服の抗生物質で治療しますが、腎盂腎炎では経静脈血管内投与(点滴)が原則。用いる抗生物質は「腎盂腎炎の症状・診断」の章の『細菌の培養検査』で説明した手順に基づいて原因菌に有効な種類が選ばれます。

治療の経過・治療にかかる期間

原則的に入院治療となるので安静と保温、水分補給、抗生物質摂取に努めれば、3~5日で発熱は治まります。それから先は通院治療も可能です。

ただし、抗生物質の投与は通常2週間程度続けます。たとえ熱が下がっても細菌がなくなったわけではありません。一旦治ったように見えても腎臓へのダメージが残っていることが多いので、油断するとぶり返すことがあります。

このような理由で細菌を完全に叩くために、一定期間の抗生物質の投与が必要となるわけです。入院中は点滴で、退院後は内服で行います。

基礎疾患がある場合の治療法

例えば、基礎疾患として、尿管や腎盂にいっぱい溜まっていた尿で腎臓が腫れる水腎症があって、腎盂腎炎を起こしていた場合、いくら抗生物質を投与しても効かない場合があります。腎臓の腫れが尿の流れを妨げるので、まずはそれを改善するための治療が必要。先天的に尿が逆流してしまう場合も、逆流自体の治療をしなくてはなりません。

腎盂腎炎の慢性化の可能性 

腎盂腎炎の炎症は急激に起こりますが、抗生物質の投与などで適切に治療すれば完全に治るので、慢性腎盂腎炎になることはありません。

しかし、抗生物質が合わなかったり投与が不完全だったりすると、慢性化する恐れもあります。一旦治っても体質的に膀胱から逆流しやすい人は、慢性化しやすいと言えます。

腎盂腎炎の予防法・再発防止法

腎盂腎炎が疑われる場合、泌尿器科では通常、逆流の有無を検査します。具体的には患者の膀胱の中に造影剤を入れた上で排尿させて、膀胱の中の造影剤が尿管に上がっていくかどうかを調べます。内科ではあまり行われません。

併せて、超音波検査やレントゲン撮影で腎臓の腫れをチェックします。基礎疾患があればそれを治療し、基礎疾患がまったくなく、たまたま上がってきたということなら予防法をアドバイスします。

具体的な方法としては、基本的には尿道から膀胱に細菌が入らないように局所を清潔に保つよう心がけるのが第一。この病気は圧倒的に女性に多いので、例えば排便後は後ろから前に拭くのではなく、前から後ろに拭くようにアドバイスします。

また、回数であれ相手の数であれ、性的にアクティブな女性は性行為によって細菌が逆流することがあるので、行為後の排尿を勧めます。

腎盂腎炎ではありませんが性行為をすると必ず膀胱炎になる人がいます。外陰部から尿道にかけてたくさんいる細菌の一部が、尿道から膀胱の中に引き込まれるからです。そういう人には行為後に抗生物質を飲むようにアドバイスします。

水分をたくさん摂ってなるべく膀胱を尿で洗い流し、寝るときは膀胱の中を空っぽにしておくことも一つの方法です。
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