腎盂腎炎(じんうじんえん)の症状
発熱、悪寒、腰痛、倦怠感などに見舞われる腎盂腎炎
■38℃以上の高熱
腎盂腎炎の一般的な症状は発熱。通常は38℃以上の高熱を伴い、40℃近い高熱を発することもあります。逆に、37℃台程度の微熱の場合は腎盂腎炎の可能性は低いと考えられます。発熱とともに、悪寒があり、震えが止まらなくなることも。
■背中や腰の痛み
患部のある側の背中や腰のあたりに痛みを感じます。何もしていなくても起こる自発痛の他、背中をトントンと叩かれると飛び上がるほどの痛みを感じることもあるよう。炎症を起こしている腎臓に響くためと考えられます。一般的に両方の腎臓に炎症を起こすことはまれなので、痛みが起きるのは左右のどちらか一方。特に右に多いとか左に多いとかいうことはありません。
■尿の濁り
腎盂腎炎は尿路感染の一種なので、尿が濁ります。検査をすれば尿の中にたくさんの白血球や細菌が見つかります。
■排尿回数の増加
尿の量は少ないものの尿意を頻繁にもよおし、排尿回数が増えます。排尿時に痛みを感じたり不快感を覚えたりすることもあります。また、膀胱炎を起こしていることが多いので、血尿が出ることも。ただし、このように膀胱炎の症状を伴わないことや膀胱炎症状が軽度のこともあります。
■全身的な倦怠感
体中がだるくて仕方ない全身的な倦怠感があります。これに伴い食欲不振を招くことも。これらは基本的に菌血症によるものです。
腎盂腎炎の検査・診断
膀胱炎に引き続く場合もそうでない場合もありますが、高熱と左右どちらかの背中の痛み、全身症状などから判断します。■尿検査と血液検査
尿検査では混濁の有無や度合い、白血球や血尿、細菌の有無を確認。血液検査では血液中の白血球の異常増加やCRP(C-リアクティブ・プロテイン)という炎症反応の数値の上昇を確認し、診断します。
CRPは、組織の一部が壊れたり体内に炎症が起きたりした場合に血液中に見られるタンパク質の一種。正常な血液にはごく微量しか含まれないことから、炎症の有無の診断に使われます。
■細菌の培養検査
抗生物質による治療に先立って尿と血液からサンプルを採取し、腎盂腎炎の原因となる細菌を特定するための培養検査を行います。菌の感受性を確かめて、最も効果のある抗生物質を選ぶのが狙い。
尿路感染で一番多いのは大腸菌のようなグラム陰性桿菌という種類なので、まずはそれに効く抗生物質を投与し、その結果を踏まえて適切な抗生物質に絞り込みます。
■超音波検査
尿管や腎盂に溜まった尿で腎臓が腫れる水腎症や結石などの基礎疾患の有無を調べるために超音波による検査を行うことも。腎臓の腫れや結石があると思われた場合、お腹のレントゲン写真を撮って確認します。