肺炎の症状……長引く咳・痰・発熱・胸の痛みなど
肺炎の症状は、よくある風邪の症状と似ている部分があります
典型的な肺炎の自覚症状には、次のようなものがあります。
- 長引く咳・痰
- 発熱
- 胸痛 (炎症の箇所による)
- 呼吸困難 (重症の場合のみ)
- 意識障害 (重症の場合のみ)
肺炎の診断法・診断基準……問診・胸部レントゲン・血液検査
上記の症状についての問診とあわせて、胸部のレントゲンと血液検査を行います。ほとんどの場合、レントゲン写真で肺に異常な影があり、血液検査で炎症を示す所見や症状が出た場合には肺炎と診断されます。しかし、上記の検査だけではっきり確定診断ができなかった場合、痰を調べる喀痰(かくたん)検査や胸部のCT検査、血中の酸素状態を調べる検査を行ったりします。肺炎の原因となる病原体によっては、尿検査を行うことがあります。インフルエンザや麻疹・水疱瘡(みずぼうそう)などのウイルスが原因で起こる肺炎の場合は、より特殊な血液検査を行うこともあり、症状ごとに検査方法は異なります。レントゲンなどの画像検査を受けるのが不安な方は、「レントゲンにCT検査で放射線被曝リスクはあるのか」もあわせてご覧下さい。
肺炎の種類……インフルエンザ肺炎・マイコプラズマ肺炎など
肺炎には様々な種類があり、原因となる病原体別に分類すると、以下の通りです。■細菌性肺炎
通常、「肺炎」と呼ぶもののほとんどは、この細菌性肺炎です。肺炎球菌、インフルエンザ桿菌(かんきん)、クレブシエラ、モラクセラ・カタラーリスなどの細菌が原因で起こります。
■ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス、水痘ウイルスなどが原因で起こります。
■マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという病原体による肺炎。抗生物質の代表であるペニシリンは効きません。特に小学生を中心とした若年者に多く、空咳が主症状。血液検査で白血球が上昇しない(しにくい)ことも特徴とされます。通常の喀痰検査ではマイコプラズマを直接確認することはできず、治癒してから病原体が特定されることも多いです。
■レジオネラ肺炎
高齢者の集団感染で問題になることが多い肺炎。温泉や循環式風呂などで汚染された水に繁殖したレジオネラが感染し、重症肺炎として発見されることもしばしばです。マイコプラズマと同様に、ペニシリンは効きません。
肺炎の治療法・治し方……抗菌薬の内服・点滴・必要に応じて入院も
一般的な肺炎の治療は薬で行います。肺炎に使われる抗菌薬は、原因と推定される病原菌にあわせて使い分けますが、ペニシリン系やセフェム系など種類が様々ですので、主治医の説明を聞いた上で正しく使用してください。一般的な肺炎の場合はこれらの薬剤を内服や点滴することで、病原体の繁殖を抑えて治療します。
治療を行う際は、入院して安静を保つことが原則です。長期入院が必要というイメージを持たれている方も少なくありませんが、全身状態が良好で軽症な肺炎の場合は入院せず、内服と外来で行う点滴のみ治療することもあります。
肺炎と診断されて正しい治療を行っても異常な影が消えない場合は、肺炎に隠れて肺がんや肺結核が潜んでいるケースもあり、その場合はさらに細かな検査を行います。
その他、咳を伴う病気一覧は「咳・痰の原因となる病気」をご覧ください。