身体への異物侵入を防ぐ咳や痰の症状
呼吸器疾患でもよくある症状である、咳や痰。咳・痰は何らかの刺激による体の正常な反応として起こるものですが、これらの症状が長く続くのは辛いものです。咳と痰のメカニズムと役割について簡単に解説してみましょう。
咳のメカニズム・役割
人間が生きていくために欠かせない「呼吸」。普段意識することもないと思いますが、呼吸に使われる空気の通り道である気道や、横隔膜や肺を覆う胸膜に何らかの刺激が加わると、その刺激は神経を伝って延髄に到達し、反射が起こります。この反射が「咳」です。例えば風邪を代表とする呼吸器感染症の場合、気道に侵入したウイルスなどの病原体を排除しようと咳症状が起こります。ですから、咳は人間の防御反応のひとつとも言えるのです。薬剤によって無理に咳を止めてしまうと、かえって病気が長引いてしまうこともあり得ると言われるのはこのためです。
その他にも炎症、腫瘍、アレルギー、あるいは薬剤や唐辛子などに含まれる化学的物質が刺激となって咳反射が起こることがあります。化学的な物質が原因ではないのに咳が止まらないという場合は気道の病気を考える必要があります。咳が出る季節や時間帯はあるのか、痰も一緒に出るのか、鼻水やノドの痛みを伴うような風邪症状はないか、アレルギーの有無も咳の原因を見分けるポイントです。
咳と一緒に痰が出る・痰が絡む・血痰が出るときに考えられる病気
咳をするときに、痰が絡むことがあります。健康な状態であれば喀痰はほとんど出ないか、出てもわずかです。痰が出るという場合には、気道の炎症が原因となっていることが多く、病気によっては特徴的な色がついていることもあります。また、痰に血が混じることがあります。肺がんなどの腫瘍が代表的ですが、肺結核や気管支拡張症、肺炎や肺化膿症などの感染症、時には風邪をひいてノドの炎症が強い場合にも血のついた痰が見られることもあります。気になる症状がある場合は、病院を受診するようにしましょう。