歯・口の病気/歯茎の出血・腫れ

歯茎や粘膜の出血・腫れに潜む病気

歯茎や粘膜に痛みを感じたり、違和感が現れたときは、表面に何らかの変化が起こっているのが確認できます。歯茎や粘膜の異常に関連する病気について紹介します。

丸山 和弘

執筆者:丸山 和弘

歯科医 / 歯の健康ガイド

歯茎の出血・異常に潜む病気

皆さんは、歯茎(歯肉)と粘膜の違いはご存知ですか? 歯の周囲で骨の裏打ちがある為に、引っ張っても動かないのが、歯茎(歯肉)です。裏打ちがなく引っ張ったり押したりすると動く部分は粘膜に分類されます。

どちらも出血したり違和感や痛み、腫れなどがある場合は、正常ではありません。それらの状態について考えられる病気を解説します。

歯周病
歯茎からの出血で最も多いのが、歯肉炎と歯周病です。歯の周囲の歯茎が歯周病菌などによって炎症を起こし腫れや出血した状態となります。歯肉炎が長期間続くと歯周病となり、歯の周囲の骨を溶かしてしまうようになります。

口内炎
口内炎は歯以外の部分であれば、どこでもできます。最も多いのが、くすんだ白か灰色のような小さな丸い点が次第に大きくなり、食べ物などの機械的刺激に対して、痛みを感じるようになります。1~2週間程度で改善することが多いです。

慢性根先性歯周炎
歯茎の表面におできのような無痛性の膨らみができ、ときどき腫れたり、押すと膿が出てきたりすることがあります。このおできは、歯の内部の汚れが原因でできる炎症反応の結果なので、おできそのものの治療はありません。原因となっている歯の治療が必要です。

咬傷
頬の粘膜を噛んでしまうと、一部がただれたり、血豆になって腫れたりします。歯の生えている位置や歯の形態が原因と考えられます。慣れると噛まないようになることもありますが、頻繁に噛むようであれば、歯の形態の調整を行なうと改善することもあります。

ドライソケット
親知らずを抜いた後などに、まれに起こります。抜く際に一時的に口の中に露出した顎の骨が、歯茎になかなか覆われないために、抜歯後数週間にわたって痛みが続くことがあります。抜歯の際の手際は、あまり関係ありません。治療によって次第に改善します。

下顎隆起
下の歯の奥歯の内側(舌側)にボコボコとした膨らみがあることがあります。時間をかけてすこしづつ大きくなることもあります。症状は特になく、鏡を見て初めて気がつくことも多いようです。歯ぎしりなどの刺激が原因で起こる骨の反応で、そのままでも問題ありません。

口腔がん
口の中は、歯以外のすべての組織ががんになる可能性があります。特に注意が必要なのは、舌がんで、歯と触れるあたりの側面と、舌の下側の粘膜周辺に口内炎に似た痛みを生じ、次第に膨らんでくることがあります。

唾石症
食事の際、粘膜の一部が急に膨らんで強く痛むことがあります。これは唾液腺の管が唾石などで詰まってしまい、一度に唾液が出ようとしても、唾石が邪魔をして流れないため起こります。管を塞ぐ唾石を取り除く治療が行なわれます。

口腔扁平苔癬
40歳以降の女性に多く、口の中の粘膜が、左右対称に白く変色したりします。中心部が皮が剥けたような状態を繰り返したり、刺激に対して口内炎と同じような強い痛みが出ることがあります。原因が不明のため、治りにくいのが特徴です。

多くの場合、歯茎や粘膜などに異常があらわれても、ついつい様子を見てしまいがちです。しかし1週間程度様子をみたのに、腫れや痛みに変化がなかったり、より悪化している場合などは、一度病院で診察してもらうことをオススメします


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