来月からスタートする「地域包括支援センター」。どんな機関なのか、基本知識を整理しておきましょう |
これまでの在宅介護支援センターと、何がどう違うのでしょう? 基本知識をまとめてみました。
Q:地域包括支援センターの役目って何?
●介護予防の拠点になる要支援者や要介護認定1の高齢者を対象に、予防ケアプランを作成。生活機能の維持・向上に効果がある予防サービスを実施します。
・運動機能向上
・栄養改善
・口腔機能向上
・閉じこもり予防
・認知症予防
・うつ予防 など
●相談を受け付ける
医療や財産管理、虐待などの問題について、相談窓口になったり、支援、マネジメントをおこなったりします。相談にのるのは保健師・社会福祉士・主任ケアマネジャーの3職種。互いに連携し、介護予防マネジメントをはじめ、高齢者への総合的な支援を行います。
●地域のケアマネジャーを支援する
ケアマネジャーを対象とする研修会を実施し、情報提供につとめます。また、ケアマネージャーのネットワークを作ったり、ケースワークについてのアドバイスなどを行います。
Q:居宅介護支援事業所(ケアプラン作成窓口)はなくなるの?
従来の在宅介護支援センターは具体的なケアプラン作成などをおこないます。これまで通り、介護保険などに関する相談には乗ってくれるので大丈夫。詳しくは担当のケアマネージャーさんに聞いてみましょう。Q:設置の背景は?
背景としては、おもに2つの要素が挙げられます。ひとつは新予防給付事業のマネジメントをおこなうため。今後、高齢化が進むにつれ、介護保険給付費はますます膨れ上がっていくことが予想されます。歯止めをかけるには、「要支援」「要介護1」など、比較的元気なお年寄りの自立生活を維持・向上させなくてはなりません。そのための事業が「新予防給付事業」。介護の専門家のみならず、社会的支援・医療支援の専門家による組織があらたに必要となったのです。もうひとつの要素は、一部の居宅介護支援事業所について、「公益性や中立性を欠いている」という批判が高まったこと。介護保険制度は国と自治体、地域住民によって支えられる公的な制度。当然、要介護認定やケアプラン作成は、利用者の立場から、公正な判断のもとに実施されなくてはなりません。しかし、ケアマネージャーの中には、所属先事業所の利益を重視した業務をおこなう人が少なくありませんでした。
Q:設置について心配されていることは?
公益・中立性が高い機関として、スタートしようとしている地域包括支援センター。しかし、ほんとうに触れ込み通りかどうかは、まだわかりません。センターの立ち上げや運営に、特定の居宅介護支援センターが関わっているケースも少なくないようです。場合によっては、包括的な支援の拠点であるだけに、一部の事業者が地域を独占することになりかねません。また、給付の抑制という本来の目的を追求するあまり、行過ぎた締め付けがおこなわれる危険性も。さていかがでしたか。「要支援」や「要介護1」と認定されている場合は、いろいろとサービス内容も変わることになりそうです。4月になったら、とにかく一度、最寄の地域包括支援センターに足を運んでみてはいかがでしょうか。