ニュース解説が終わった所で、現在の最新トピックへと進めてまいりましょう。
ボディービルダーの一部のディープな愛好家は薬物を利用して体を鍛え上げるようです。もちろん、ボディビル用の薬なんてものはなく、薬本来の働き、あるいは通常は副作用に分類される働きを利用して筋力アップを図っているのです。ビルドアップしている時にこうした薬を不正な使い方をするようです。いったん作られた筋肉はそんなにすぐには落ちたりはしないので、薬は一定のトレーニング期間だけ使用して鍛え上げます。インターネットを調べてみると、海外から個人輸入などで入手した製品を使用しているケースまであるようです。このようなケースは、ドーピングとは呼ばず薬物の不正乱用になります。
いわゆるホルモン剤については、ホメオスタシスの記事で書いている成長ホルモンと同じ仲間です。安易に不正使用しているケースがあるようですが、何か起きてからでは遅いです。「友達が使ったけれど何もなかった」ので、あなたも大丈夫という事はだれも保証してくれず、何か起きても責任は自分にあるという事をよく理解し、不正な使用は慎むべきです。薬物の影響、注射による衛生面の問題などとても恐い話しです。勉強すれば恐くてできないと思うのですが、現実にはその判断を見誤っている人は多いのです。
さて、薬物乱用からドーピングへと話しを戻して、現在の技術から考えられる究極のドーピングを想像してみましょう。
やはり遺伝子操作による人体改造になるのでしょうか?遺伝情報には体を形作る情報が盛り込まれています。顔のつくりや体の大きさなどは親から子へ引き継がれていくように、どんな体つきなのかも基本的に設計されています。もちろん生まれてからの生活環境によっても違いはあると考えられますが、その元となる情報は遺伝子なのです。
昨年来、人の遺伝情報が解読されたニュースが報道され、医学分野での利用が注目をあびていますが、これは現在の所、遺伝子の配列が解っただけです。遺伝子のどの部分が何の働きをしているかは未だ研究段階にあります。もしこの中で体の成長をコントロールしている遺伝子が発見されその働きが解明されたら、後はそこの遺伝子を入れ替える事が可能になるでしょう。
実際の研究の場では、タンパク質を合成する遺伝子の情報を入れ替え、実験内容にあわせたタンパク質を作らせるように操作されつつあります。つまり、この技術を応用すれば身長をのばす事が可能な理論が考えられるのです。
このまま行くと、もしかしたらスポーツ競技が自動車レースのように、人の肉体を使った最新技術の実験室のようになってしまうかもしれません。どこかのバイオ研究所の技術で肉体を改造して超人的な能力でスポーツ競技を行なったり、その肉体を作り上げたコンストラクターズチャンピオンも競われる、そんなスポーツ競技がSFの世界ではなく現実になる時がくるかもしれません。いや、もしかしたら我々の知らない所ではもうそんな世界に一歩踏み込んでいるのかもしれません。
人の遺伝子を操作する事は倫理上の問題があり、人の遺伝子の操作に関わる研究については充分な議論が必要です。我々観戦者にとってできる事はドーピングの事を良く知って報道に惑わされる事なく、的確な判断によってスポーツ競技が健全に行なわれる事を望むしか方法は無いように思います。
もうすぐ大会開幕!何はともあれ4年に1度の冬の祭典を楽しむ事にしましょう。
<関連サイト>
・ ソルトレークシティー五輪公式サイト
・ 世界反ドーピング機関
・ International Doping Test & Management
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