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専門用語解説「ドーピング」 こう読む!ドーピングニュース

前編では、一般的なドーピング基礎知識をお送りしました。今回お送りする後編では、関連ニュースをピックアップし、薬に関する解説を加えながら実践編としてお送りしてまいります。

執筆者:赤堀 一仁


前編では、一般的なドーピング基礎知識をお送りしました。
でも、これだけではありきたりと思われる方もいるでしょう。後編では、一般的に流れているニュースをピックアップし、薬に関する解説を加えながら実践編としてお送りしてまいります。

、、とその前に、ドーピングの問題点について整理してみましょう。
1. スポーツのフェアプレー精神に反する
2. ドーピングは社会悪になる
3. ドーピングは選手の健康を害する

言うまでもなく、勝つ為に薬物を使用することはルール違反。薬物を使って勝ったら、それは違法なので失格になります。またトップアスリートの皆さんがドーピングをすると、薬物の不正乱用がファッション感覚として伝わってしまうという、社会的な影響が大きいです。また、選手個人の健康を害し、大切な生命を失ってしまう可能性もあります。

という理解で話しを進めてまいりましょう。

NEWS
ドーピング検査に事前抜き打ち検査実施
国際オリンピック委員会は、参加選手全員を対象とした事前抜き打ちドーピング(禁止薬物使用)検査を、大会開幕4カ月前から開始することを承認しました。
前回のシドニー大会では、全体の4%に実施をしたこの事前検査、今回のソルトレークでは米国政府予算から100万ドル(約1億2500万円)を確保し、「世界反ドーピング機関」(WADA)や各国オリンピック委員会などの協力を受けて、100%の達成を目指してきました。先日の報道ではソルトレークシティー冬季五輪対策として1年前から実施してきた全世界での抜き打ち検査で、禁止薬物の陽性反応が24件あったことが報告されていました。

解説
「事前ドーピング検査?薬を使っていい結果を出すのがドーピングなのに、4ヶ月も前に検査して何が判るんだ?」という方もいらっしゃるでしょうか?最近のドーピングは競技直前だけではないのです。
筋力アップが必要な時に薬を使って筋肉をつけ、大会の半年ぐらい前から薬を止めて普通のトレーニングを行なっていると、検査で陽性がでる事はありません。こうしたドーピングに対して事前検査するのです。しかし、この検査の問題点は、検査対象者数が膨大になり、費用も多くかかってしまう事です。

NEWS
新たな申請義務!喘息治療薬
ソルトレークからは、β2刺激剤の使用を申請する選手は、医師によって審査されたことを証明する書類の提出が義務づけられました。一般的には呼吸が苦しくなる、ぜんそくの発作症状を緩和するこの薬は一時的な興奮作用があり、これまでは事前申告さえすれば使用は許可されていました。しかし、タンパク同化作用をもたらすとされるこの薬は筋肉増強剤と同じ効果があるので医師を介した申請が必要になりました。

解説
大切な事は報告が厳しくなった事であって、吸入式の喘息薬がドーピングになるという事ではありません。では、なぜドーピングの記事でこの報道がされたかというと・・・。一時的に興奮作用をもたらすβ2作用薬と同一の成分を体内に取り込むことによりドーピングチェックに引っかかったとしても「私はこの薬を治療で使っているのだからこの成分は体から出てきておかしくないですよ!」という言い訳を封じ込めるためだと考えます。
また、この成分でタンパク同化作用を期待する量を摂った場合には、自律神経にも影響する事から非常に危険である事をお伝えしておきます。普段からお使いの方はご承知と思いますが、誤った使用をする事の無いようくれぐれもご注意ください。

さてこれとは別に、吸入式の喘息治療薬の中にはステロイド剤と呼ばれるものがあります。確かにこの成分は副腎皮質ホルモン成分を含んでいて交感神経刺激作用、タンパク同化作用などの働きがあります。しかし、エアロゾルタイプの特徴は全身作用が少なく、医師による診断の元で通常の使い方であればポピュラーに使われている安全性の高いものです。
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