他の病院の薬で大丈夫?
複数の医療機関から薬を受取っている場合は、必ず医師と薬剤師に伝えましょう |
その後、歯の治療で歯医者さんに行きましたが、他の病院から抗生物質を処方されて飲んでいることを伝えたら、「では、それを飲んでいてください。今回は、歯科からの薬は無しです。」と、言われました。
歯科の先生から「歯の薬は飲まなくていい」と言われている様な気がして、なんだか不安なのですが、大丈夫なのでしょうか。
A:はい。大丈夫です。逆に、同じような薬を2つの医療機関で受取って飲むことの方が危険です。医師や薬剤師がそれを未然に防いだことになります。
この質問は、先日知人から受けたものです。あまり病院にかかったことがないこともあるようですが、歯科から薬が出されるはずだったのに、取り下げられてしまったと感じて、不安になってしまったようです。
抗生物質は全身に効く?
この質問をしてきた知人は、膀胱炎に効く薬が歯(正確には歯肉と歯根の炎症)にも効くことに驚いていたようです。現在、医師からの処方箋で受取ることができる内服タイプの抗生物質は、ほとんど全身への作用があります。
理由は、少し専門的になりますが、薬を水と一緒に飲むと胃で溶けて、ほとんどの薬の成分は腸で吸収されます。そして、血中に薬の成分が入り全身を回ります。そのため、膀胱以外の部分にも抗生物質の効果があるのです。
抗生物質ならどんな種類でもいいの?
ただし、抗生物質には、色々種類があります。それは、「どういう菌に効果があるか」によって、異なります。今回は、膀胱炎に効く抗生物質は「色々な菌に幅広く効果がある」抗生物質Aでした。そのため、歯肉や歯根の炎症を起こす原因の菌にも効果があると考えて歯科医師は、その抗生物質Aを飲んでいるならそれ以上抗生物質を飲む必要はないと判断したものと思われます。
※もちろん、医師や歯科医師の判断によって異なることがあります。
他の事例
上記の抗生物質の例と同様なものとして、痛み止め(鎮痛薬、解熱鎮痛薬)の例があります。たとえば、内科を受診して頭痛や解熱のために受取った痛み止めの薬が、整形外科で受診した腰痛に効くので、整形外科では薬が出なかったなど…。
同じような薬を知らずに飲んでしまうと、効果が強く出るだけではなく、それに伴い副作用が強く出てしまい危険です。
その他、違う効果の薬でも、薬によっては一緒に飲むと効果が強く出たり、弱くなったり、副作用が出やすくなったりということもあります。
必ず、受診の前に医師や薬剤師に飲んでいる薬を伝えてくださいね。そして、疑問があればぜひ薬剤師に尋ねてみてください。
*ネット上での診断・相談は診察ができないことから行えません。この記事は実際の薬局での会話をもとに構成したものです。相談が必要な方は、医師や薬剤師に実際にお聞きください。
【参考リンク先】
注意したい薬の飲み合わせ
薬の基本的な飲み方