癌(がん)/がん予防法

オトナなら知っておきたいお酒とがんの関係(2ページ目)

酒は百薬の長と言われますが、それは、適量をまもってこそのお話。お酒の飲み過ぎが体に悪いことは、みなさんご存じの通りです。では、お酒のがんとの関係はどうでしょうか?

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

飲酒とがんの関係

飲酒とがんの関係
近年の大規模な疫学研究では、やはり、過度の飲酒とがんとの因果関係が明らかになってきました。
お酒の主成分であるアルコールは、体にとっては、やはり毒になります。飲酒とがんの関係を調べた研究によると、お酒が最初に通過する部位(口腔、喉頭、咽頭、食道)のがんや、お酒が分解される肝臓におけるがんが発生しやすいということが明らかになっています。

これは、こちらにも書きましたが、アルコールが分解される過程で出てくるアセトアルデヒドが発がん性を持つためだと考えられています。

楽しいお酒も、飲み過ぎると体に良くないというのは、今や、科学的にも実証された事実といえるでしょう。

お酒を楽しむための工夫

お酒を楽しむための工夫
お酒を飲むときのちょっとした工夫で百薬の長という面を引き出すことができます
私の外来でも、患者さんにお話するのは、次の3点です。

1.適量を守り、休肝日を作る。
適量というのは、人によって異なりますが、標準的には、1日日本酒で2合程度、週に1~2回は飲まない日を作るということをおすすめしています。

1日飲まないということは、48時間、アルコールにさらされない時間を作るということで、肝臓の再生を助けます。アルコール性肝炎から肝硬変、肝臓がんへと進行させないためには、飲酒量もさることながら、休肝日の設定が大切です。

2.惰性で飲まない
仕事上でのおつきあいや、職場での歓送迎会などで頂くお酒は楽しく有意義なものです。ただ、家に帰ると必ず、プシュッ!という、いわば惰性で飲むお酒を避けることは、意外に簡単にトライできます。「癖や惰性で飲むお酒はもったいないですよ」とお話ししています。

3.禁煙する
喫煙しながらの飲酒は、発がんのリスクをあげるという報告があります。もちろん、喫煙は、お酒と違って百害あって一利なしです。「酒もタバコもダメというのなら、生きている意味がない」ということは無いはず。人生、もっと楽しめることがたくさんありますよ!

なんと言っても、人生を楽しむためには、やっぱり、健康が第一。これらのことに注意しながら楽しくいただく適量のお酒は、きっと生活に彩りを与えてくれるでしょう。


【関連リンク】
アルコールとアルデヒドの基本的知識はこちら⇒鍛えられて飲めるようになった人は要注意!(All About がん・がん予防)

お酒とがんの死亡率についての厚労省研究班の調査結果⇒飲酒とがん死亡率との関係について(厚生労働省多目的コホート研究からの成果報告)



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