癌(がん)/がんの基礎知識・ステージ・転移

がん発生の原因とメカニズム(2ページ目)

【医師が解説】「がん」は、私たち誰にでも起こりうる病気です。検査による早期発見・早期治療が大切なのはよく知られていますが、そもそもがんはなぜ発生するのでしょうか。がん細胞が病気の「がん」になるまでの仕組みをわかりやすく解説します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

リンパ球が消去し忘れたがん細胞が、「がん」へ

ミスコピーは完全に消去すべし
完全に消去されるべき細胞のミスコピー。しかし、「消去し忘れ」があったときに、がんができてしまいます
私たちの体内でできたミスコピーは、通常、リンパ球と呼ばれる白血球の一種によってシュレッダーにかけられたように消去されていきます。1000個できても、2000個できても、一つ残らず、完璧に消去されてしまいます。このメカニズムについても、また、別の機会に分かりやすく説明したいと思います。

しかし、1個でもがん細胞が残ってしまうと、どうなるでしょうか。がん細胞は、2個、4個、8個、16個と、倍々に分裂していきます。それが、細胞の数が10億個、直径が1cm、重さが1gになると、レントゲンやCT、内視鏡検査などの画像検査で発見されるようになります。そこで初めて、「がん」という病名が告げられるのです。
 

なぜ、がん細胞が残ってしまうのでしょうか?

ミスコピーを残してしまう理由
がんの始まりは、消去しきれなかった一つのミスコピーの細胞です。では、消去し忘れの原因は何でしょうか
「ミスコピーされた細胞を一つでも残してしまうことが、がんの原因になる。」少し乱暴なストーリーですが、分かりやすく言うとこれががん発生の基本的な考え方です。では、ミスコピーの細胞が残る理由は何でしょうか。

それは、以下の2つしかありません。
1.ミスコピーがたくさんできすぎてしまう
2.シュレッダーの性能が落ちてしまう

「○○は、発がん性がある」と言われることがありますが、これは、ミスコピーをたくさん作りすぎてしまう、という意味で使われる事が多いです。また、がん遺伝子・がん抑制遺伝子なども、結局は、このミスコピーの細胞を作ってしまう、作らないように働きかけるということにつながります。一方、「免疫力が下がると、がんになる」と言われているのは、シュレッダーの性能が落ちていることを指しているケースがほとんどです。

こうやって考えてみると、がんができる仕組みも、かなり分かりやすくなるのではないでしょうか。これらをざっと理解しておくと、がんの治療や予防が、もっとよくわかってくると思います。まずは、大まかな流れを把握して、がんについての理解を深めていきましょう。

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