副作用が避けられない……従来の放射線治療のジレンマ

放射線治療のジレンマ
放射線治療では、治療効果を高めようとすると副作用が強くなるというジレンマがあるのです。
放射線には、細胞を死滅させてしまう働きがあります。核兵器はもとより、原子力発電所の事故などでの様々な健康被害については、すべて、放射線の持つ殺細胞作用が発揮されたものと考えられます。

がん治療における放射線治療は、この性質を利用して、がん細胞を死滅させてしまおうというものです。従来の古典的な方法では、外部からがんが存在している部分、もしくはがんの存在が予想される部分に対して、一定量の放射線を照射しています。

この方法では、皮膚や肺など、正常な組織にも、がん組織と同じ量の放射線が照射されるため、皮膚や肺の炎症、貧血などの副作用が強く出てしまいます。すなわち、この副作用があるために、がん細胞に照射される放射線量を制限せざるを得ないという、ジレンマが存在していると言えます。

これに対し定位放射線治療とは、がん細胞に向けて様々な角度や方向から放射線を少しずつ放射することで、正常な組織への障害を抑え、がん細胞には十分な量の放射線を照射することができるようになっています。

「放射線をしっかりと照射したいけれども、正常な組織への影響が大きすぎる」。この放射線治療のジレンマを解消する方法が定位放射線治療と言えるでしょう。


外科医が握らない新しいメス!ガンマナイフとサイバーナイフ

ガンマナイフとサイバーナイフ
外科医が使わないメス。それが、ガンマナイフとサイバーナイフです
定位放射線治療には、放射線のうち、ガンマ線を用いるガンマナイフ、X線を用いるサイバーナイフがあります。名前は、「ナイフ」とつきますが、もちろん、本当のナイフではありません。ナイフのように切れ味よく治療できる放射線治療という意味です。

ガンマナイフは、頭にドーム状のヘルメットを装着して照射を行います。これには、201個の線源、すなわち放射線を出す物質がはめられています。焦点がずれないように、事前によく位置をチェックして、場合によっては局所麻酔をしてヘルメットを頭部に固定する必要があるのが少し難点と言えるでしょう。

一方、サイバーナイフは、自在に動くアームを用います。このアームの先端には放射線の線源が入った箱がつけられており、100カ所以上の異なった場所から、がん組織に向けて少しずつ放射線が照射されます。

これらは、ともに、正常な組織や細胞に与える影響を最小限に抑えつつ、がん組織には必要な放射線を照射するための仕組みと言えます。定位放射線治療の適応は、脳腫瘍や頭部の神経腫瘍のみでしたが、近年、その適応がひろがって、小型の肺がんなども保険適応になっています。

メスを用いずに、ガンマナイフやサイバーナイフを駆使してがん細胞を焼き切ってしまう放射線治療医が病院で活躍しはじめているのです。


【外部リンク】
ガンマナイフについて、動画での施行風景の動画も収録
 ⇒ガンマナイフとは(日本ガンマナイフサポート協会)

サイバーナイフについて、Flashなどを使った簡単なアニメもあり
 ⇒サイバーナイフ(大阪大学大学院集学放射線治療学)


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