50~60代を中心に、アスベストによる健康被害が増えています。健康診断や肺がん検診などでも時々発見されることもあるアスベスト肺(石綿肺、塵肺の一種)とその合併症である悪性中皮腫についてご説明します。


進行すれば命取り! 早期発見がポイント

良性胸水
赤の点線は胸水です。慢性的な呼吸困難感のため、自覚症状は乏しいこともあります。青い矢印は胸膜プラークの所見です
アスベストによる最大の合併症である悪性胸膜中皮腫が進行した場合、抗癌剤や放射線治療の効果は乏しいため、早期発見することが大切です。自覚症状のないこともありますが、アスベストによる健康障害の危険性・特徴を知っておくことも必要です。

特に、アスベストを扱ったことがある人とそのご家族は要注意ですが、問診の上ではアスベストを扱ったことがないという方に悪性胸膜中皮腫が見つかった例もあります。


家庭でのチェックポイント

実際のアスベスト肺の診断は非常に難しいものですが、家庭でも確認できる3つの簡単なチェックポイントがあります。
  • 背中、特に下側でバリバリという呼吸音がある
  • 指先が太鼓のバチのように丸みを帯びている(ばち指)
  • タバコを吸わないのに咳や痰、息切れが続く
この場合の呼吸異常音は聴診器がなくとも確認できることもあります。その方法は、家族の誰かに耳を背中に直接当ててもらって呼吸を繰り返すだけです。アスベスト肺で聴取される呼吸異常音は、乾性ラ音(別名に、ベルクロ・ラ音、ファイン・クラックル、ねんぱつ音など)と呼ばれ、マジックテープをはがすような特徴的な呼吸音が聞こえます。わき腹で触れる一番下の肋骨の高さで、肩甲骨の下方に耳をつけ、左右の肺の呼吸音を比べてみてください。

この乾性ラ音は肺の上方よりも下方で強いのが特徴ですので、上下を比べてみるとわかりやすくなります。いずれの所見も他の病気でも見られることはありますが、家族も含めてアスベスト産業に従事したことがある、もしくは近辺に住んでいたことがあり、かつ3つとも揃っているようであれば疑いは強くなります。また、胸水が貯留してきた場合には、こうした呼吸音は小さくなります。


次のページでは年齢別にアスベストの健康障害のポイントをご紹介します。