感染症/感染症のしくみ・感染経路・予防法・治療法

風邪を予防する正しいマスクの使い方

風邪の予防にマスクは有効ですが、正しく使わなければ効果も低下してしまいます。昨年の正しい手洗いの方法に続き、正しいマスクの着用法をご紹介します。

執筆者:吉國 友和

風邪の原因となるウイルスは200種類以上、臨床的に問題となるのはそのごく一部です。これらウイルスを予防するのはマスクと手洗いです。昨年はノロウイルスにちなんで「ノロウイルス対策! 正しい手洗いの方法」についてご説明しました。今回はマスクについてご説明したいと思います。


風邪ウイルスの感染様式

微熱
風邪かなと思ったとき、誰かにうつされたかも……と思うことはありませんか?
風邪やインフルエンザ、急性胃腸炎など、冬のウイルス感染症の感染経路を大きく分類すると「飛沫感染」「空気感染」「接触感染」という3つの様式があります。冬季のウイルス性胃腸炎の大きな原因であるノロウイルスは主に接触感染を起こしますので、症状の有無に関わらず手を洗うことが最も大切な予防法でした。

これに対して一般的な風邪では、すでに感染した人からの咳(せき)やくしゃみ、あるいは空気中に浮遊するウイルスを吸い込むことでも感染を起こすため、マスクを着用してウイルスの侵入を阻止することが大切です。


飛沫感染と空気感染

冬の一般的な風邪のウイルスは、主に空気の通り道である気管支や鼻などの粘膜から感染します。結論だけ述べると「地面から舞い上がるウイルスを避けるために、あごの下まですっぽりとマスクで覆うこと」が肝心です。これらのウイルスの感染様式や特徴をもう少し詳しく知っておくと、更に風邪の予防に役立つことは間違いありません。参考までに、接触感染についても簡単にご説明します。
  • 飛沫感染……直径5マイクロ以上の水分の内部に、ウイルスを含んだ粒子の吸入によって感染。感染した人からの咳やくしゃみ、会話の際に粒子が飛散するために生じる。水分の重さによって粒子は急速に落下するため(秒速30~80cm程度)、感染者との距離が短いほど感染の危険が高まる。
  • 空気感染……別名を飛沫核感染。病原体を含む飛沫核は直径が5マイクロ以下と小さく、周囲に水分を含まないため、飛沫感染と比べて落下するまでの速度は緩やか(秒速0.06~1.5cm)。しかも、一度落下したウイルスが再び空気中に舞い上がる可能性もあるため、病原体となるウイルスは空気中を長時間にわたって漂い続ける。空気の流れで広範囲に飛散するため、大規模な流行を起こすこともある。
  • 接触感染……糞口感染と呼ばれることも。便や嘔吐物、ウイルスに汚染された食品に接触した人間の手や指先に付着したウイルスを経口的に摂取することによって感染する。昨今流行しているノロウイルスもこの様式で感染する。衛生環境の悪いところでは感染が広がりやすい。
風邪をひいたとき、そういえば咳をしている人と会っていたなぁと思い出すことがあるかもしれません。しかし、一概にその人からうつされたとは限りませんし、風邪で寝込んだときの症状は気持ちの持ちようでも変わるもの、免疫力を高めるためにもなるべくポジティブな気持ちを維持しましょう。

それでは、こうしたウイルスの特徴を踏まえて風邪の予防に役立つマスクについて、具体的に考えてみましょう。


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