糖尿病のある人にとって、アルコールは難問です。禁止するのは行き過ぎる行為ですし、飲み過ぎれば命にかかわります。
アメリカでも1型の若者にはアルコールは禁止事項でした。しかし禁止すれば黙って飲みます。DCCT(糖尿病・コントロール・合併症・トライアル)という糖尿病治療の歴史に残る研究でもアルコールは面倒な問題でした。1型の人を強化インスリン療法で血糖値を可能な限り正常値に近づけると『低血糖』のリスクと背中合わせになります。
禁止すれば自己判断で飲んでしまう。そしてシビアな低血糖を起すケースが相次ぎました。
その解決法は『禁止』ではなく、正しい知識を伝えることでした。
アルコールは肝臓でブドウ糖を作って血液中に出す作用をブロックしてしまいます。血液には必要量のブドウ糖しかありませんから、インスリンを注射したり、インスリン分泌を高める薬を服用している人は『低血糖』のリスクがアルコールで高まります。
ですから、アルコールを飲む時にはある程度の炭水化物を摂る必要があるのです。アルコールのためにインスリン量を減らすことは解決にはなりません。
1型の人は量を決めて、時間をかけてゆっくりと飲むテクニックを身につけましょう。そして就寝時の血糖チェックとスナックが大切なポイントになります。
2型の人はアルコールの高カロリー(1g7kcal)と生活の乱れが大きな問題です。
糖尿病があろうがなかろうが、アルコールの適量は女性で350mlのビール1缶相当、男性で1~2缶というところです。
アルコールの量とすれば15~30gです。
1日3缶の350mlのビールを飲む人は『ヘビードリンカー』の部類に入ります。意外でしょうが、アメリカでもヨーロッパでもアルコールはこういう扱いなのです。
日本のビジネスパースンズは異常な程アルコールに親しみ過ぎているようです。