カカオの木。幹や枝に直にカカオの実がなる。 |
ダークチョコレートがインスリン感受性を高めて血圧も下げると発表したのはラキラ(L'Aquila)大学(イタリア)のダビデ グラッシらの研究グループです。さすが、イタリア人!
この記事を読んで、夢見心地でコンビニへチョコレートを買いに行く前にちょっと復習をします。
チョコレート100gで480kcalですよ。いいですね!そしてこの記事はAmerican Journal of Clinical Nutrition Vol.81 No.3 2005 3月号からの引用です。
チョコが糖尿病にいいというのは、まだ実証された科学ではありません。こういうテストをしたら、このような結果になったということです。
その正体は「フラボノイド」
最近の医療やヘルシー食の話はまるで有機化学の勉強みたいです。抗酸化物質のポリフェノールというのは、化学でおなじみの亀の甲(六角形のベンゼン環)に2個以上の水酸基を持つものの総称で、そのサブグループにフラボノイド類があります。これは果物や野菜の「色」に関係が深い化合物で、チョコレート、日本茶、赤ワイン、タマネギ、リンゴ、クランベリー、ピーナッツ等に多く含まれていることはご承知の通りです。
そのフラボノイド類の中でも特にカテキンなどで知られている「フラボノール」や「フラバン-3-オール」が注目の的です。
これらの植物由来抗酸化物がからだを呼吸に伴うフリーラジカルの攻撃から、あるいはタバコの煙や環境汚染から守ってくれると考えられています。LDL(悪玉)コレステロールの酸化を防いで動脈硬化も予防してくれるようです。さらに
- 血小板の過反応を減らす
- 血管を柔らかくする 心・血管を調節するエイコサノイドのバランスをよくするetc
これらの効果も報告されています。
そして、ココアやチョコレートには赤ワインの2倍、日本茶の3倍もの抗酸化物質が含まれているという論文だってあるのです。
[コーネル大学 2003年12月、Journal of Agricuture and Food Chemistry]
どんなチョコレートを選ぶの?
まずホワイトチョコレートは除外しましょう。これはカカオバターなのでフラボノイド(色素でもあるのです)は期待できません。チョコレート大好き人間はたくさんいるのに、カカオとココアとチョコレートの関係をご存知の方は少ないでしょうね。
南米アンデス原産のカカオ(cacao)の木には不思議なことに幹や枝に直にカカオの実がなります。実の中には種子がたくさん入っていて、その種子をローストしてからペースト状にしたものが「カカオマス」です。カカオマスからカカオバターを取った(脱脂)ものが「ココア」パウダーです。ココア(cocoa)のことを英語では"コウコウ"と発音しますね。いやぁーフクザツ!
チョコレートはカカオマスに砂糖や香料、脂肪を加えて作ったものです。
このカカオの精製工程で「フラボノイド」が損失します。種子の発酵やアルカリ処理、ローストなどが行われるからです。
フラボノイド(ポリフェノール)は苦味やえぐ味のような刺激性の強い成分ですからある程度は取り除かなくてはなりません。そこで、おすすめは「ダークチョコレート」です。