2001年5月16日、アメリカの新しいコレステロール値の指針が発表されました。
高脂血症を、薬を使ってでも積極的に治療しようとする姿勢を評価して、ファイザーやメルクなどの製薬会社の株がすぐに値上がりしました。
今まで約1,300万人が高脂血症の薬を処方されてきましたが、それが3,600万人にNIH(アメリカ国立保健研究所)は見ています。アメリカの死因N0.1は心筋梗塞などの冠動脈疾患ですが、今回の指針を受けてドラマチックに低下するだろうと専門家は期待しています。
同年6月9日、日本動脈硬化学会は治療の対象となる高脂血症の基準を『総コレステロール値240に緩和』することを提案しました。現行の総コレステロール値220mg/dlを240に、同じくLDLコレステロールを140から160に、それぞれ診察基準を引き上げる(緩和する)というのです。
これによって、今まで2,000万人もいた投薬対象者が一遍に1,000万人も減ると自画自賛しました。
それはそれなりに結構な話ですが、納得がいかないのが今まで不要な薬を飲まされていた(?)多くの中高年男性です。大きな『ブーイング』がいっせいに起りました。
そこで、アメリカが新ガイドラインでどの位厳しくしたのか、日本がどの位手綱を緩めるのかを調べてみると…
なんと、日本もアメリカも同じ数値なのです。
そんな、まさか!
アメリカでは国民生活に影響を与えるガイドラインをひとつの学会が決めることはありません。治療が必要となるコレステロール値は今回を含めて3回発表されていますが、国民が面食らうようなコア(核心)の部分は変更しません。
1985年に設立されたNCEPという組織が中心となってアメリカ国民を高脂血症から守ろうと活動していますが、これには40を越す組織・団体が官民の総力をあげて参画しています。もちろん、アメリカ糖尿病協会も代表者を送り込んでいます。一流の専門家が27のパネルで20ヶ月にわたって検証したものですから、現時点ではベストなものです。