糖尿病/糖尿病対策の生活・運動療法

糖尿病とスイミング

スイミングは体の筋肉や関節に無理な負担を掛けないので糖尿病者に優しいスポーツです。2型の人には理想的な運動療法ですが、1型の人は特別な配慮が必要です。『低血糖』を避けるために血糖チェックをたびたび行います。また運動を始める前にはメディカル・チェックを受けましょう。悪性の網膜症や自覚のない心不全が心配です。

執筆者:河合 勝幸

夏です。青い海、白い砂浜が呼んでいます。スイミングは糖尿病のある人にとって、とても相性のいいスポーツです。
目の網膜症や神経障害のある人にとって、力(りき)んだり、どすんどすんと体に衝撃を与えることはとても危険なのですが、抵抗の大きな水の中では全てが優しい動作になるのです。

ウォーキングやランニング、自転車もそれぞれの良さがありますが、膝(ひざ)や足、足首や腰に痛みがある人には、浮力が体重を支えてくれるスイミングは願ってもないものです。無理な力が筋肉や関節に掛らないので、けがの少ないスポーツでもあります。

糖尿病による心肺機能の低下はとても合併症のリスクを高めますが、スイミングはその機能回復に大いに役立ちます。そして他のエクササイズと同じように、フィットネスや減量に欠かせないものですし、体のインスリン感受性も高めてくれます。運動のエネルギー消費が血糖値を下げてくれるのは言うまでもありません。

他のスポーツと同様に、始める前に医師のアドバイスをもらいましょう。特に自覚のない目と足の神経のチェックが必要です。
OKがでれば後は体に合った水着とゴーグル、プール・シューズを用意するだけです。
浜辺やプールサイドを裸足で歩くのは厳禁です。ちょっとした傷が万病のもとになります。

スイミングはかなりのエネルギーを消費するスポーツですから、1型の人は『低血糖』に配慮が欲しいものです。理想的には泳ぐ前の15~30分間に2度血糖値を測って、血糖が上がりつつあるのか下がっているのかを知っておきましょう。1,500メートルのような長距離を泳ぐ時は、途中で血糖チェックするのも大切なことです。
また、運動によって増えたブドウ糖輸送体がしばらく細胞膜上に残るので、終了後も12時間にわたって血糖が下がりがちになります。スポーツの後は普段よりも血糖測定の回数を増やすのです。
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