インスリンがペン型になり、針も細く短くなって、注射の痛みも恐怖感もどんどん少なくなりました。今日では糖尿病者の最大の苦痛は、神経の敏感な指先から採血を行う血糖測定だと言われています。インスリンを使う人は、1日に5~6回も針をささなければならないのですからつらいものです。

そのため、世界中の医療メーカーが、『ほとんど無痛』を謳い文句に、できるだけ痛みの少ない血糖値測定機を開発・販売しています。たとえば、比較的痛みを感じにくい前腕部から、虫ピンの頭ほどの血液を採取して測定できるようなものです。

そうした動きの中で最先端を走っているのが、アメリカで発売間近となっているシグナス社(アメリカ)の『グルコウォッチ(R)バイオグラファー』(以下、グルコウォッチ)です。

著名な糖尿病医でご自身も糖尿病があり、シグナス社のコンサルタントもしているカリフォルニア大学医科大学院助教授Dr.Edelmanは『糖尿病教育ネットワーク』(アメリカ)のインタビューに次のように答えています。

「グルコウォッチはいろいろなことができるクールな装置で、糖尿病者に多大の恩恵を与えるのは間違いないでしょう。しかし、同時にまだパーフェクトなものでもありません」

グルコウォッチの最大の特徴は採血せずに血糖値が測定できることです。普段はデジタル時計になっている本体部の裏側にある、二つのパッドから微弱な電流を流して測定するようになっています。

1度セットすると12時間にわたる自動測定が可能。測定は20分間隔で行われるので、食事、運動、ストレスなどが血糖値に直接与える影響をリアルタイムで見ることができます。また、注意が必要な高血糖状態や低血糖状態を自動的に知らせてくれるアラームもついています。

しかし、このモニターはまだ課題も残っているようです。まず、パッドを取り替える度に3時間のウォーミングアップが必要となること。次に、初期設定には採血による血糖値の測定が必要となること。この測定値は、病院で検査するような厳密さがもとめられるそうです。また汗が禁物なので運動中は使えません。パッドが接触する部分に赤いカブレができることもあるそうです。

すんなりと従来の採血モニターの代替にはならないようですが、血糖値の詳細な測定が好ましい1型糖尿病の人には心強い味方になってくれることが考えられます。

アメリカではFDAの最終認可を待っていますが、なぜかロンドンのフリーマーケットでは既に出回っているといいます。アメリカでの価格は350~400ドル、1回ずつ取り替えるパッドが3.5~4ドルと予想されています。

<関連サイト>
The GlucoWatch(R) Biographer
http://www.cygn.com/glucowatch.html

アメリカ「Cygnus,Inc.」のホームページ(英語)
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