当サイトの『あなたの一票』で、食後2時間はいつから測るかというアンケートをとったことがあります。
食事が終わってから2時間後のことか、食事がはじまったときから2時間後かという問題です。
正解は、意外でしょうが食事を始めた時からの時間の経過でした。
健常者の胃の中では、ちょうどこの頃(2時間後)に食べた物の1/2量が腸へ移動しているのです。
この数年来、『食後2時間』の血糖値の重要性が見直されています。従来は起床時の『空腹時血糖値』が糖尿病の重要指標として扱われてきましたが、ここにきて改めて食後の血糖値のピークが問題になっています。
過去2ヶ月の平均血糖値を示すヘモグロビンA1cが、空腹時血糖よりも食後の血糖値により強い関連性があることが分ってきたのです。
アメリカのDCCT(1型の糖尿病コントロールと合併症トライアル)でも、1型糖尿病者のヘモグロビンA1cと相関していたのは、就寝時血糖値と昼食後2時間の血糖値でした。空腹時血糖値や朝食後の血糖値はそれほど影響がなかったのです。
食後1時間の血糖値の高いピークは、今日では妊娠時の糖尿病を除いてはあまり評価の対象にはなりません。ブドウ糖負荷テスト(OGTT)でも1時間後の血糖値は省略されました。
2001年8月号のDiabetes Care(アメリカ糖尿病協会 24,1317-1318)の論説では、『大きな赤ん坊の何がいけないのか?』というタイトルで妊娠糖尿病の最新研究が論じられています。ヘモグロビンA1cや過去数週間の平均血糖状態を示すフラクトサミンが正常範囲であっても、巨大児のリスクがあるのは食後血糖の高いピークの見損じではないかというのです。
同号には関連論文として、糖尿病のない妊婦の妊娠後期の正常血糖値の研究が載っています。正直なところ、正常な平均血糖レベルがこんなに低いところにあるとは驚きでした。
高血糖が母体や胎児にいかに危険であるかを明快に示してくれるものです。