糖尿病/糖尿病の経口薬・インスリン

2型糖尿病の新薬「バイエッタ」

2型の治療は食事療法と運動療法から始まります。次いで経口剤、そしてインスリンへと進みます。今年になって全く新しいタイプの薬が登場しました。日本ではこれから第II相研究の準備です。

執筆者:河合 勝幸

2型の治療は食事療法と運動療法から始まります。次いで経口剤、そしてインスリンへと進みます。今年になって全く新しいタイプの薬が登場しました。日本ではこれから第II相研究の準備です。

FDA(アメリカ食品医薬品局)が新たに認可したのはバイエッタ(Byetta)という薬で、一般名をエクセナチド(exenatide)と言います。
「バイエッタ」が商品名で「エクセナチド」が成分名です。
既に「スルフォニル尿素剤」や「メトホルミン」、あるいはその双方を服用していた人は、バイエッタ注射剤を併用することがアメリカでは認められました。

イーライリリー・アンド・カンパニー(本社:インディアナポリス、アメリカ)とアミリン・ファルマシューティカルズ社(本社:サンディエゴ、アメリカ)は、2005年4月29日FDAが標準的な糖尿病経口剤であるメトホルミンもしくはスルフォニル尿素材の服用、またはこれら2剤のコンビでも適切な血糖コントロールを得られない2型糖尿病者に、追加治療として「バイエッタ」(エクセナチド注射薬)を承認したことを発表しました。
「バイエッタ」の発売予定は6月1日でしたから、アメリカの人は面白い薬にチャレンジしていることでしょう。


インクレチン・ミメティクスとは何だ?

「バイエッタ」はインクレチン・ミメティクスとして知られる化合物の初めての医薬品です。「インクレチン」と言われるホルモンは、腸の内分泌細胞から放出されて、血糖上昇に反応してインスリンの生成能力を高め、食後のグルカゴン(血糖を上げるホルモン)の分泌を抑制するものです。
詳しいことは私の関連記事「なぞのホルモンGLP-1」をご覧ください。

私たちの身体はインクレチンとして「GLP-1」のようなホルモンを腸から分泌していますが、2型糖尿病の人はGLP-1が少なくなっていることが知られています。このホルモンは食後の血糖値が急上昇するのを防ぐために、食べ始めにインスリンの初期分泌を促す大切な役割があるのです。
そこで朝食・夕食の1時間前に5マイクログラムあるいは10マイクログラムのエクセナチドを注射して、からだが備えているGLP-1の働きをまねをしよう(ミメティクス、mimetics)とするものです。
今回のバイエッタは使い捨て注射器ですが、いずれ同じカテゴリーの薬が経口剤として発売される可能性は大いにあります。

今のところスルフォニル尿素剤とメトホルミンの併用のみですが、いずれバイエッタのみの処方も認められるでしょう。糖尿病ビギナーにはうれしい薬です。
日本ではこれから糖尿病者への効果や、用量と副作用の関係をみながら用法、用量を探索する段階ですから発売予定はまだまだです。
関連リンク
  • なぞのホルモンGLP-1 [from On-line糖尿病ウォッチャー]
  • 毒トカゲから糖尿病薬! [from On-line糖尿病ウォッチャー]
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