糖尿病末梢神経障害とは
電気コードが古くなると、断線したりショートしたりしますね。神経障害も同じイメージなんです。脳や脊(せき)髄の中枢(ちゅうすう)神経から、神経線維が長く延びれば延びる程高血糖のダメージを受けやすくなります。足の指先が一番遠いところです。電気コードは絶縁と保護のため何重にも被膜されていますが、神経線維(軸索)も脂質を多く含むタンパク質(シュワン細胞)で絶縁されているのです。これが高血糖が長い年月続くと糖化されてボロボロに劣化してしまうのでは?という仮説があります。神経の電気信号は電気コードのように銅線の中を電子が流れるのではなく、興奮がシュワン細胞(長さ2mm)を秒速100メートルで玉突きのようにして伝わるのです。糖毒でシュワン細胞が死んでしまうと信号も止まります。足を守る神経が死んでしまうのです。
背の高い人、すなわち神経のルートが遠距離の人が末梢神経障害になりやすいという事実にはピッタリの説ですね。
もちろん、いろいろな仮説がありますよ。
筋肉や脂肪細胞はブドウ糖を取り入れるためにインスリンが必要ですが、神経細胞はインスリンを必要としません。だから高血糖になると神経細胞の中もブドウ糖やそれから出来たソルビトール、フルクトース(果糖)であふれてしまいます。この糖毒状態が神経細胞にダメージを与えますし、ミオイノシトールという神経細胞が正常に機能する物質を減らして異常が起こるというセオリーもあります。
あるいは高血糖が持続すると細小血管がだめになり、末梢神経に十分な血液が届かなくなってダメージを受けることも考えられます。
糖尿病神経障害は激しい苦痛を与えます
末梢神経には手足を動かす運動神経、熱い、痛いなどと感じる知覚神経、臓器や発汗などを調節する自律神経がありますが、糖尿病合併症ではこの全部が障害されます。足を守る神経すべてが初めは無症状の内に少しずつ壊れていきます。両手両足の末端からゆっくりと上の方へ進行してきますが、進行すると耐えられない痛みを伴うものですから、決して侮ってはいけません。
神経障害は、不快感程度から、夜間の眠れない程の痛み、あるいは足の切断まで、人によって症状は多様ですが、全糖尿病者の75%が多かれ少なかれ起こすといわれているのです。
病歴10年以上、40歳以上、血糖コントロール悪し、喫煙者、ヘビードランカーそして背の高い人(?)は心を改めてください。
ベストの血糖コントロールを目指すしかありません。タバコや過度のアルコールは自殺行為ですよ。実は私の身長はぴったりの175.5cm! 内心はビクビクしているのです。
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