新しい「妊娠糖尿病」の診断基準とは
このHAPOスタディのデータは昨年の第67回米国糖尿病協会の学会で発表されて、それを基に世界中の専門家が今年の6月にパサデナ(カリフォルニア)に集まって診断基準の見直しが行われる予定です。国際的には妊娠24~28週の時機に妊娠糖尿病のスクリーニングを行うことが推奨されています。日本では75gブドウ糖負荷テストで負荷前値100mg/dl以上(アメリカでは95mg/dl以上)、1時間値180mg/dl以上、2時間値150mg/dl以上(アメリカでは155mg/dl以上)のうち、2点以上を満たすものが妊娠糖尿病と診断されます。
HAPOスタディで明らかになったのは、23,325人の妊婦のこの時期の平均血糖値がこの妊娠糖尿病の診断基準よりもかなり低いレベルにあることでした。つまり、以前からあった「母子の安全のためにもっと診断基準を下げるべき」という意見に根拠を与えるようなデータだったのです。HAPOスタディの平均値は75gブドウ糖負荷前(空腹時)血糖が81mg/dl、1時間値134mg/dl、2時間値111mg/dlでした。
HAPOスタディの目的のひとつは、どの位の血糖値で母児の周産期リスクが高まるか?を知ることでしたが、これは達成できませんでした。つまり血糖が低い方から高い方へ直線的にリスクが高まるのです。どの血糖値からアブノーマルかは決められませんでした。
たとえば、空腹時血糖が75mg/dl未満のグループの帝王切開分娩が13%だったのに対し、100mg/dlを超えるグループは26.3%にもなったのです。
>>最後に、母体の赤ちゃんへの影響をご説明しましょう>>