世界基準値「IFCC-HbA1c」の誕生
臨床検査値の世界標準を決めているIFCC(国際臨床化学連合)が、より正確にA1Cだけを測定できる方法を開発してIFCCヘモグロビンA1Cという基準が出来ました。これは従来の3通りのA1Cより、かなり小さい値になります。なぜなら従来の方法がA1C以外の身元不明なブドウ糖を一緒に計測していたからです。そこでアメリカのA1C目標値7%未満というのは、別のA1Cではこのようになります。これらは全て同じものなのです。アメリカ(欧州) 7%
日本 6.64%
スエーデン 6.13%
IFCC 5.3%
[Clinical Chemistry 50:1, 166-174(2004)]
さて、どのA1Cを使うのでしょうか?
専門家のグループは正確なIFCCヘモグロビンA1Cを世界の標準値にすることで意見が一致しました。検査機器メーカーもこの分析方法に統一します。しかし、大きな問題に直面します。医師や患者にとって、A1Cの数値が変わると血糖コントロールの判断がつきません。また、医療にとっても今まで積み上げてきたA1Cと合併症の関連が瓦解してしまいます。当然、大反対です。
そこで誤解の元となる"ヘモグロビンA1C"ということばを止めて、元来それが意味していた平均血糖値(AG、Average Glucose)そのものに切り換えて混乱を乗り切ろうという名案が出されました。欧米基準のA1C 6%というのは、過去2~3ヵ月のAG(平均血糖値)が135mg/dlと同じことだったのです。
そこで検査はIFCC方式でやって、患者にはなじみのある血糖値の単位(日本やアメリカではmg/dl)で告げようというのです。
もちろん、まだ決まっていません。従来のままでいいという意見、A1Cの名を残したまま、値の単位を替えて新装する、あるいは上記のようにAGにするという選択が考えられています。今年の9月にまた動きがありますから、ご注目を!
関連リンク
from On-line 糖尿病ウォッチャー
from All About[糖尿病]