わかってきた2型糖尿病の遺伝子

病気にはたった一つの遺伝的変異で起こるものと、多数の遺伝子が相互に干渉しながら起こるものがあります。糖尿病でもインスリンそのものに、あるいはインスリン受容体に障害があるようなタイプは単一遺伝子病ですが、その病態も症状も一般の2型糖尿病患者とはかなり違うそうです。これらの単一遺伝子異常を全部まとめても2型糖尿病の3%にもなりませんから、残りの97%が多因子(遺伝子)ですね。

今回の研究はアジア人、アフリカ人、アメリカ人、ヨーロッパ人の4グループを含む32,000人以上の人達の遺伝子を調べました。そこで発見したり、再確認した10個の遺伝子領域で2型糖尿病の80%ぐらいは説明できるのでは、と言われているのですが、不思議なことに一つひとつの遺伝子は控え目な効果なのだそうです。糖尿病に関連した遺伝子はもっとあるだろうとの予測です。

今回同定された2型糖尿病の遺伝子領域は次の4つです。
  • IGF2BP2 インスリンの作用を調整していると考えられているインスリン様成長因子2に関係する。
  • CDKAL1 インスリンを作るベータ細胞に作用するタンパク質。
  • CDKN2AとCDKN2B ベータ細胞の成長に関与するタンパク質。ガンの成長でも研究されていた遺伝子でもある。
  • 染色体11番の今まで遺伝情報が無いと思われていた領域。研究者はこの部分の塩基配列の変異が他の部分にある遺伝子の発現に影響するのでは?と考えています。

    今まで知られていた遺伝子多型の6ヵ所は次のようなものです。
    TCF7L2(ベータ細胞の機能障害)、SCL30A8(ベータ細胞だけで発現する亜鉛輸送体遺伝子)、KCNJ11(新生児糖尿病に関与)、HHEX、PPARG(脂肪酸化障害)、FTO(肥満)。
    これらに中性脂肪を調節するGCKRを加える人もいます。

    遺伝子異常から治療を選ぶのはまだ先の話ですが、遺伝情報が作るそのタンパク質がわかれば、それを目標にした薬の開発が可能になります。

    個々の遺伝子のみでは弱い効果というのは、飢餓と背中合わせの生活をしてきた人類にとって、大切な遺伝情報である「倹約遺伝子」の仮説を裏付けるものです。かつては必要な資質だったものが過食およびその質の悪さ、運動不足、タバコ&アルコール、加齢などのライフスタイル、環境要因で2型糖尿病になるようです。

    プラス思考で考えるなら、だからこそ予防医療が役立つともいえる話です。今後の研究にも期待しましょう。

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