いままで聞いたなかで一番笑える話は「60歳を過ぎたら、お医者さまが顔も見てくれないの……」と嘆くご婦人の体験談です。その病院は糖尿病では超有名なところ。でも、そんな病院、止めましょう。


診察券をもう一枚増やすのは迷いますね。でも……
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お勧めしたい転院、感心できない転院

糖尿病だけじゃないけど、慢性病治療には医師と患者の信頼関係が一番大切なのです。
このところ、「笑い」が血糖値を下げるという、治療に及ぼす好結果のみが話題になっていますが、このテーマのきっかけを作ったノーマン カズンズ(1915-1990 アメリカの著明なジャーナリスト。『笑いと治癒力』他)が最も避けたかったのが「笑いとばせば重病も治る」というような安易な結論だったのです。ノーマン カズンズは医師との信頼関係をいつも最上位に置いていました。「笑い」は患者の積極的な情緒のシンボルだったのです。
カルテから顔を上げない医者なんて、サイテーですよね。

どんなに医師とうまく行っていても、過去2~3ヵ月の平均血糖を表わすA1C(エーワンシー)がどうしても6%台にならないならば、転院を考えるべきです。ダメ医者なんですから。
なぜなら、日本糖尿病学会はA1C 7~8%を「可」としてますが、「可」とかその英訳の「Fair・フェアー」というのは「まずまずの成績」という意味ですね。ゴルフの「フェアー・ウェイ」は良い意味ですよ。
なんと言う時代錯誤でしょうか。世界の常識では7%以上は「不可」なのですから。フェアーなんてとんでもない!

糖尿病に詳しい医師なら7%以上が「不十分であり、不良である」ことを知っています。
だから、それを放置する医師は認めがたいのです。

とても面白い研究がDiabetes Careというアメリカの医学誌に載ったことがあります。
医師が合併症予防のために厳しい血糖コントロールを本当に望めば、患者もそれに応えようとするというものです。
だから日本糖尿病学会の指針のようにA1c 7%~8%未満を「可」とする医師ではあなたの人生が危ないのです。ダメなんです、こんな程度では。

さて、お勧めできない「転院」もあります。
もうご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、2006/8月号の『みんな、げんき?』(DHC編集)で私がインタビュウに答えているように、糖尿病患者は3つのグループに分けられるのです。
だいたい40%の人は糖尿病に前向きにチャレンジするグループです。いつも積極的です。
次の20%の人はいつも心が他のところにある、何を言っても馬耳東風のMr.&Ms.チャランポランスキー……。この人たちにはさすがの医師も「さじ」を投げます。
そして、残りの40%が何でも理解しているように大きな声で言いますが、ほとんど結果がでない「言い訳名人」のタイプ。冠婚葬祭は言うに及ばず、女房・亭主を3回ぐらい盲腸に仕立て上げても、なぜA1Cが悪いかを医師に説明しようとするグループです。

そんなこと、先刻ご存知の医師が「前にもそんなこと言ってましたね!」なんて答えると、急に言いがかりをつけて転院を考えます。
また一から言い訳を並べ立てれば2~3年は保ちますからね。でも、結局は合併症ですよ。A1Cが悪いのですから。
糖尿病の合併症は限度を越すと、とても足が速いのです。
このグループの人は転院を繰り返してはいけません。
もっと謙虚に医療と向き合うべきです。

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