電気の消し忘れ、鍵の閉め忘れが気になって、確認する事は、よくあります。しかし、度の過ぎた確認は、問題があります。極端な場合では、鍵の閉め忘れが気になって、何度も何度も確認し、家の外に出られないということがあります。自分でも無意味な確認と気づいていても、確認せずにはいられないのです。ここまでくると、強迫神経症です。
●典型的な例
A子さんは、22歳の女性で、ある朝、夫とともに精神科のオフィスを訪ねました。以前から神経質な性格でしたが、結婚後、部屋のタンスが倒れ、下敷きになるのが心配で、なんども安全を確認し、夫にも、安全かどうか、確認を要求するようになり、次第に確認の対象も、「ガスの栓」、「電気器具のスイッチ」と拡大していきました。夫に何度も確認を要求し、拒むと、カッとなり、物を投げつけたり、殴りかかったりします。たまりかねた夫に無理やり、連れてこられました。
●原因は性格?
以前は、持って生まれた性格が大きく関与し、大きなストレスをきっかけとして、“発病”すると考えられていました。最近では、生物学的な原因が大きいといわれ、脳内でセロトニンという物質の関わる神経のシステムの異常が、病因に関与していると考えられています。
●治療
薬物療法が中心です。SSRIという、セロトニンと関連のある薬剤が主に用いられます。また、「行動療法」といって、患者さんに実際に確認行為のある状況を作り、そこで生ずる確認行為への衝動を抑えるように訓練する方法も効果があります。
強迫神経症は、半数以上が、突然、症状が発現します。妊娠や親類の死などストレスの大きな出来事を契機になることが多いです。多くの人は、強迫症状を隠すので、精神科を受診するのが何年も遅れることがあります。気になりすぎる場合は、精神科で適切なサポートを受けるのがベターです。
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