薄毛は男性にとっては深刻な問題です。男性ホルモンが薄毛に関係しているからです。完全な解決には再生医療による自己毛根の培養と移植に期待しましょう。 |
【薄毛にならない3つの方法】
一つの病態には、遺伝因子と環境因子の両方が関係します。薄毛に関する遺伝因子と環境因子は明確ではありません。(※因子:ある病態の原因となる可能性のある要素の事)両因子を考慮した薄毛にならない3つの方法をまず紹介します。
薄毛にならない方法 | 1 薄毛の家系に生まれない。 2 薄毛になる前に死ぬ。 3 去勢(睾丸摘出)をする。 |
薄毛に家系、遺伝性があるのは科学的には遺伝子解析が終わっていないので証明はまだです。少なくとも人種差がある、すなわち、白色人種が黄色人種より薄毛になり易いのは、事実です。もし、単一の遺伝子が薄毛に関与しているならば遺伝子治療の道が開けます。
【男性ホルモンと毛根】
▼毛の役割
ヒトの寿命が短く、30~40年のころは薄毛に悩む人は少なかったと想像できます。
毛は毛根が作り、毛根は皮脂腺と同時に存在します。機能的には皮脂は皮膚の乾燥を防ぐために必要です。一方、毛の役割は、ヒトではどの程度役に立っているのか評価が別れています。
▼毛髪材の効果の判定
毛根には、成長期→退行期→休止期の「毛サイクル」があります。男性の薄毛の多くは成長期が短縮した状態です。ですから発毛剤が、成長期の延長に効果がある場合でも、発毛剤の効果の判定には一定期間必要です。
▼薄毛と性
薄毛には明らかに性差があります。その原因は男性ホルモンです。
男性ホルモンは、成長期を短縮させます。睾丸からの男性ホルモンがなくなれば成長期が延長して増毛が期待できます。
といっても去勢は現実的な選択ではありません。
女性ホルモンの男性への投与は、増毛する可能性よりも、女性ホルモンを代謝する肝臓障害を起こす可能性が高く、その上に男性機能の低下を伴う全身の女性化を引き起こします。
【前立腺癌の治療と増毛の関係】
男性の前立腺癌は、睾丸が分泌する男性ホルモンが悪性腫瘍の発育に関係する、ホルモン依存性の悪性腫瘍です。治療には抗男性ホルモン剤を使用します。
このような型の薬には容量依存性といって投与量を増す(減らす)と効果が上がる(下がる)性質があります。つまり、適量を使えば前立腺癌には効かないけれど、毛根に作用する男性ホルモンを抑える事ができます。商品名はプロぺシアです。日本では未発売(萬有製薬が治験中)ですが個人輸入は可能です。上に述べた毛サイクルがあるので効果は半年くらいしないとわかりません。
【再生医療と毛根】
まだそれほど発毛が必要でない人または、これまで何を試しても納得できない男性は再生医療に期待しましょう。
再生医療は治療の面から各種臓器が検討対象です。それとは別に需要が期待できるために毛根が研究対象に入っています。自己の毛根を培養増殖して、移植すれば薄毛ともおさらばできます。ただし実用化には~10年程度かかります。
もし、薄毛の遺伝子診断が可能になると「そろそろ髪の移植時かな~」が日常会話になる日が来る日もそう遠くないでしょう。そうなると、積み立て自己毛根貯金(保険商品)とか、若い時の凍結自己毛根保存業とかが、新しいビジネスになるのかもしれませんね。