肩こり/肩こりの原因・しくみ・肩こりに潜む病気

顎関節症が原因で、肩こり・頭痛がひどくなる?

口を開けるとコキッと音がしませんか?顎関節の異常を感じている人は要注意。肩こりや頭痛の原因になるかもしれません。今回は、顎関節症(がくかんせつしょう)が及ぼす影響について、ご説明します。

檜垣 暁子

執筆者:檜垣 暁子

カイロプラクティック理学士 / 肩こり・腰痛ガイド

顎関節の負担が肩こりにつながる?

肩こりや頭痛が顎関節の不調と関係しているケースがあります

肩こりや頭痛が顎関節の不調と関係しているケースがあります

なかなか楽にならない肩こりや頭痛に悩む人も多いかと思います。ですが、このようなご相談を受け、顎の関節への負担を軽減させるような施術を行うと、肩こりや頭痛が改善された例があります。

食事で硬いものを噛むと顎関節に違和感があったり、口があまり開かないといった人の中には、慢性的な肩こりを抱えていることも多いのです。

顎に異常が起きるとどうなる?

「顎関節症」という名称を聞いたことはあるでしょうか?口を開閉する際に動く顎の関節に何らかの異常が起きると、顎の関節周辺の筋肉や靭帯に悪影響を及ぼします。すると、顎の関節や噛む時に使われる筋肉に痛みが出る、口の開閉がスムーズに出来ない、口の開閉で音がするなどの症状が出てきます。 口の開閉で骨がきしむ音やガクン、コキッといった音が耳付近で感じるのは、顎の関節が耳に近い位置にあるからです。こうした顎の不快な症状は、1つだけではなく、複数の症状を同時に感じることもあり「顎関節症」としてまとめられています。さらに、顎関節の不調が他の部分へ悪影響を与えることがあります。

顎関節に忍び寄る危険度チェック

□ 朝目覚めると歯を食いしばっていたような違和感が残っている
□ 就寝中、歯ぎしりをしているようだ
□ 鏡の前でゆっくり口を開けてみると、下の顎が左右にズレながら開く
□ 顎が痛んだり、口の開閉で音が鳴る
□ かみあわせに違和感がある
□ 食事中に自分の舌や頬の内側を噛んでしまうことがある
□ 食事は片側で噛むクセがある
□ 力仕事や歯をくいしばるスポーツをしている

あてはまる項目が1つくらいなら大丈夫!と思うかもしれませんが、残念ながらそうではありません。あてはまる項目数が多いほど、顎関節への負担が大きくなっていると予想されるのです。しかしチェックが1つでも、顎関節への負担はかかっている可能性があるため、当てはまる項目はゼロであることが理想です。

顎関節の不調の原因は? ほっぺを触って筋肉チェック

顎関節の不調によって肩こり、頭痛が悪化する理由のひとつに、食事で使われる筋肉の影響が考えられます。噛むときに使われる筋肉の1つは、頬にあります。

右の手のひらで右頬を、左の手のひらで左頬を触り、顔を両手で挟んだ状態で歯をくいしばってみましょう。ポコッと膨らみませんか? これが、噛む時に使われる筋肉です。もう1つ、頭部の横側にも噛む時に使われる筋肉があり、この2つの筋肉が、顎関節症の場合に緊張して硬くなり痛みを出しやすいのです。


顎関節症の治し方は? 改善のポイントは筋肉のバランスにあり

この筋肉は左右にありますが、筋肉の緊張度合いに左右で差が出ると、肩こりを起こす頭、首、肩をつなぐ筋肉のアンバランスを招く可能性が高まります。血行不良や筋肉疲労へつながると、肩こり悪化や、筋緊張による頭痛が多く感じられるようになる人もいます。姿勢バランスも乱れるため、首や背中の筋肉が過剰に緊張するなどして、改善しにくい肩こりの慢性化を引き起こすことにもなります。


顎関節症からの肩こり、頭痛を予防する方法

考え事をしている時や就寝中に歯をくいしばる人は、顎関節への負担が大きくなります

考え事をしている時や就寝中に歯をくいしばる人は、顎関節への負担が大きくなります

顎関節に異常が出る原因は様々なのですが、顎関節を動かす際に使われる筋肉の左右差を減らすように心がけることが、顎関節症の予防になります。生活習慣の影響は大きいのです。

例えば、ストレス状態に長期間さらされている人。仕事が多忙・家庭での悩み・眠りが浅いなど、疲労が抜けずストレスが続くと、無意識のうちに歯をくいしばっていたり、肩の力が抜けなくなっていたりします。就寝中の歯ぎしりの原因にもなり、顎関節への負担が増えるかもしれません。

ストレスフリーの生活は難しいかもしれませんが、心身のリラックスが促されるように日常生活を見直すことで、顎関節症からの肩こり、頭痛を予防することができればと思います。


顎関節の負担を減らす5つのポイント

 意識的に肩をリラックスさせる
両肩を3秒間すくめて、スッと脱力しましょう。5回ほど繰り返します。

□ 顎を突き出すような姿勢を避ける
顔と体を正面に向けたまま、左右の肩甲骨を背骨へ寄せるように動かし3秒間キープし脱力しましょう。5回ほど繰り返します。

□ 歯並びや顎の不調が気になったら受診する
歯科や口腔の専門医に相談しましょう。歯の検査やマウスピースで補正するなどの対策をとる場合があります。

□ 片側ばかりで咀嚼しないようにする
虫歯の治療中だったり、無意識の癖だったりで、食事は右側ばかりで咀嚼するという人がいます。出来る限り左右差がないように動かしましょう。

□ 大きな口を開けない
顎関節に違和感や痛みがある場合は、大きな口を開けないように気をつけましょう。ハンバーガーを食べようと口を開けたところ、口を閉じることが出来なくなったという人もいます。

昔から肩こりがひどいという人は、顎関節に関わる筋肉に負担がかかりやすいことも考えられます。顎関節への負担を減らすとともに、肩こり対策も心がけると、顎関節の不調が原因の、肩こり・頭痛も予防できるかもしれませんね。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます