研究所の玄関です。 |
インタビュー内容
◆なぜ、先生はこの場所に研究所を作ったのですか?
A)凄い田舎だからそういう質問を良く受けます(笑)。実は私の趣味的な要素が大きいですね。まあ、歳を取ったら、環境の良い場所でのんびりと実験が出来ればいいかと思っていました。でも、多くの不妊専門クリニックの先生方から種々様々な仕事を頂き、それをこなすのが精一杯で、なかなか夢に描く実験は出来ていません。また、この場所まで多くのエンブロオリジストの皆様が研修に来られるのでちょっと気の毒だなと思っています。
◆先生の研究内容を教えてください。
A)私は男性不妊の方がとても気になっています。特に精巣内に精子の存在しない方は今のところ有効な治療法がないので何とかできないものかと考えております。精子は成熟するまで2ヶ月かかります。でもその2ヶ月の途中で成熟が止まる人がいます。
こういう方の未熟精子をなんとか培養技術でカバーできないものかと研究をしております。いや、研究したいと思い続けていると言った方が正しいです。まあ、現実的には困難なテーマと解りきっていますがライフワークにしたいと願っています。
◆先生は多くの不妊専門クリニックをサポートされていますが、その理由を教えてください。
A)研究所を運営するにしても運営する資金が必要です。そこでその資金を捻出するために、かつて知り合いになったART実践の先生方に、私の意志をお伝えしたところ、快く会員になって頂き、講演や技術コンサルティングを始めたのがきっかけです。最近では院内教育や社内教育の講演依頼も増えてきました。
研究室内部の様子です。顕微授精のトレーニング用機器です。 |
◆研究所のスタッフについて教えてください。
A)実は研究所の所員はみんな家族なのです(笑)。主任研究員は長男です。工学部卒業後、一度コンピューターの会社に5年ほど勤務していました。私の独立を機に退職して、その後、宇都宮大学の農学部大学院に進学し、博士号を取得して研究所に研修に来られるエンブリオロジストの教育に携わっています。
彼と私が研究時間を捻出して辛うじて自分達のテーマを進めているのが現状です。また、税務や会計の部分は妻が担当し、雑務に関わる秘書役は娘が手伝っています。典型的な超零細家内工業です。
◆研究所を作る時のコンセプトを教えてください。
A)私が学位を得る時、お世話になりました教授が大学とは別に研究所(微生物)を主宰し、多くの研究者が出入りしているのを見ていました。そこは、ここから近い自然に囲まれた所です。当時、私も自分の研究所を何時か持ちたいと思っていました。
イメージとしてはイギリスのボーンホールクリニックを思い浮かべました。以前、3回ほど尋ねたことがあります。自由な空間とカフェが印象的でした。しかし、現実は月とスッポンです。研究所の名称だけは負けていませんが(笑)。