現在、難治性の不妊症に対してのART専門クリニック 広島HARTクリニックと東京HARTクリニックを運営されております。今回は高度生殖医療専門クリニックの立場から色々とお話をして頂きました。
院長インタビュー
Q)先生はなぜ難治性の不妊症に特化したクリニックを作ろうと思われたのですか?
1985年に体外受精を始めたのですが、それから患者さんが急増しました。初期の段階では全般的な不妊治療を行なっていたのですが、患者さんが増えるにつれて時間的余裕がなくなり、これでは医療の質の低下が懸念されるという事で私しか出来ない高度不妊治療に特化することになりました。時間的に余裕のない患者さんに出来るだけ、質の高い治療をしてあげたいという思いがありました。だから今では初診に40分以上、再診に10分
以上の時間をかけてじっくりと患者さんとお話を出来る環境になっております。
また週一回のスタッフミーティングを充実することにより成功例のベストプラクティスの共有や患者さん情報の共有なども行なっております。
Q)中には妊娠されないケースもあると思うのですが、その場合の説明はどのようにされていますか?
胚盤胞移植法を3回以上行なった時点で話し合います。年齢が高い場合には提携医療機関においてのエッグドナーかあきらめるという選択肢になります。また、年齢が若くてまだチャンスがある場合には治療の継続するのか、または上記の選択肢を選んで頂くことになります。
Q)難治性の場合、様々な原因があるかと思いますが、多い原因を教えてください。
女性因子、男性因子。原因不明がちょうど3分の1ずつになります。最近では女性の原因の多くは晩婚化に起因するものが多いように思われます。当院の患者さんの平均年齢を見ても明らかで10年前には患者さんの平均年齢は32歳でしたが、今では37歳とずいぶん年齢が上がってきています。
不妊率に関しては他の取材などでもよく聞かれるのですが、私はあまり変わっていないのではないかと思っています。それよりも今まであきらめていた方などがマスコミ報道などにより、啓蒙されて顕在化してきていると思っています。治療法の進化が今まで表に出てこなかった患者さんを顕在化させている部分もあると思います。
Q)先生が判断する難治性の基準を教えてください。
はい、一年以上不妊治療をした方と定義しています。当院ではこの基準に当てはまるかたしか治療を行なわないのですが、年齢の高い方に限ってはそんな悠長なことは言っておれませんのですぐにでも治療を開始しております。
Q)検査には大体どれくらいの期間、必要ですか?
検査は月経1周期ですべてを終えてしまうようにしています。スムーズにARTへ移行できるように考えております。
Q)難治性の患者さんの傾向を教えてください。(年齢とか仕事とか家庭環境とか)
そうですね。80%は仕事をされていますね。だから仕事をされている方には通院の部分で最小限になるような工夫も考えています。例えば、排卵誘発剤の注射は自宅や職場近くの産婦人科で投与してもらえるようにしております。今後は場合によっては自己注射も考えていかなければならないと思っております。(次のページに続く)
あなたの一票にもご参加いただけるとうれしいです!!
※みなさまからの“ひと言メッセージ”お待ちしています。「おもしろい」「まだまだ物足りない」「まったく意味がない」等、思ったことをひと言だけでも頂ければ幸いです!遠慮なくどうぞ。
sterility@im.allabout.co.jp