今回は心の問題ということで2つの側面から考えてみたいと思います。1つは「治療前にすでに心の状態が悪い方」ともう1つの側面は「不妊治療を始めてから心の状態が悪くなった方」です。
★治療前にすでに心の状態が悪い方
まずはすでに心のバランスが悪くなっている不妊症の方のお話です。今の世の中はストレスが増える世の中と言われておりますが、仕事や人間関係で心のバランスを崩される方がおられます。例えば下記のような症状の方がその例です。
1)夜、眠れない
2)眠りが浅く、すぐ目が覚めたり、早朝に目が覚めてしまう
3)拒食や過食がある
4)一年中、冷え性である
5)肩こりや頭痛がひどい
6)時々、不安になったり、呼吸が苦しくなったりする
このような方はなんらかの原因で体が危険信号を出しており、体は自分の体を守るために様々な反応をしております。このような場合、妊娠に深く関係している内分泌系にも大きな影響があり、妊娠しにくい状況となっています。また免疫系にも作用して精子や受精卵を異物として攻撃しやすくなるともいわれております。
じゃあこのような場合、どのような対処をするべきなのでしょうか?
このような症状が見られる場合はまず元々の原因となる心の病の原因を探り出し、それを解消することが第一の治療となります。そして時には身体的な症状を抑えるための薬物治療も必要となります。
先ほどの例をあげてみると下記のような疾患の可能性があります。
1)眠れない → 睡眠障害 うつ病(気分障害)
2)眠りが浅い、早朝覚醒 → うつ病(気分障害)
3)過食・拒食 → 神経性食思不振症 心身症
4)冷え性 → 自律神経失調症
5)肩こり・頭痛 → 自律神経失調症 片頭痛 筋緊張型頭痛
6)不安や呼吸困難 → 不安神経症 パニック障害
これらの疾患はどちらかというと心療内科や精神科が専門の疾患です。心の状態の受け入れ態勢がないと妊娠は難しいので症状が強い場合は専門診療科への受診をお薦め致します。不妊専門クリニックの先生方も相談にのってくれますのできちんと自分の状態を話されることが大切だと思います。