差し歯と被せ物の違い
左が「被せ物」。自分の歯に白い色の被せ物を被せるだけ。
右が「差し歯」。大きな虫歯で、左のような歯の形に出来ない時に神経を抜いた穴に柱を差し込んで土台を作り、さらに被せ物を被せている
以前作ってそのまま調子よく使っていた前歯の差し歯。その差し歯が土台ごと抜けてしまったら、あなたはどうしますか? 慌てて指で戻してみると、意外とピッタリしていて、「良かった~」なんて思って戻したりして……。あとは「自分で買ってきた接着剤でつけられればいいのに」とか思ったことありませんか?そんなことは可能なのでしょうか? ちょっとした疑問にガイドがお答えします。

なお今回の「差し歯」とは、神経を取った後の歯に金属の土台を差し込んで、その土台を被せてある物のことです。単に被せてあるだけでは「差し歯」ではなく「被せ物」といいます。

差し歯を自分で戻すとどうなるの?

差し歯が取れた
差し歯は、神経を取った後の歯の根の部分の穴に土台が柱のように差し込まれている。取れてしまうと中の柱も一緒に抜けてくることがある
  • すぐまた取れる
    取れた原因を治さず戻すので、また取れる可能性が高い
     
  • 咬むと痛くなる
    瞬間接着剤などでつけようとすると、しっかり戻る前に固まってしまうことがあります。そうなると咬むと強くぶつかり、最悪の場合、歯の根が縦に裂けて、差し歯の歯を抜くことになることもあります。また、根の先の治療が必要にも関わらず戻しても、咬むと痛みが出ます。
     
  • 歯の周りの歯肉が腫れる
    歯の根が割れて取れてしまった土台に差し歯を戻すと、割れ目から中に細菌が入っていき歯肉が腫れてしまうこともあります。

差し歯が取れてしまったら、すぐに歯医者さんに行くしかありません。自分で治そうとしたり、接着剤でくっつけることは絶対にしてはいけないことだと思ってください。接着剤がしっかりついてしまうと、治療が必要な場合に外すことが出来ないので治療が長引きます。そして、歯が使えなくなってしまうことになります。

神経を抜いた後の穴の中に唾液が少しでもついていると、差し込んだ差し歯の柱の周囲の根の部分が虫歯になったり、唾液の中の細菌が根の中で繁殖して時間が経つと痛みの元になったりします。

差し歯が取れてしまう原因

差し歯が取れる前、取れた後
どんなに強力な接着剤を使用しても歯の根の部分が割れてしまえば差し歯は簡単にとれてしまう!
今まで調子が良かった差し歯が、どうして取れてしまうのでしょうか? 主に下記のような原因があると思われます。

  1. 差し歯の咬み合わせが、他の歯より強くぶつかっている
    実は一番多い原因はこれです。ただ単に咬んだ時だけでなく、歯ぎしりなどで差し歯だけが強くぶつかり、毎日の衝撃の積み重ねで取れてしまうのです。その結果、次のようなことが起こります。

    歯の根はダメージなく、セメントのみ破壊され差し歯が取れる
    この場合は取れた中で、最も軽症です。差し歯の金属と歯は、セメント(歯科専用の接着剤)で取り付けてあります。少しの調整で元に戻せることもあります。

    衝撃で歯の根が縦にひび割れて、差し歯が取れる
    この場合は取れた中で最も重症です。歯の根にひびが入ると咬むたびにひびが拡がり、土台ごと差し歯が取れてしまいます。入ったひびは元に戻せないため、差し歯を元に戻すどころか、歯の根を抜くことになります。
    咬み合わせが原因で差し歯が取れた場合、歯の根にダメージがあるかないかで、歯が残るか残らないかの分かれ目になります。
     
  2. 差し歯の周りが虫歯になったとき
    この場合、虫歯の大きさで重症・軽症が分かれます。差し歯は歯科用セメントでついています。差し歯の周りが虫歯になると歯とセメントの間に隙間が出来て取れてしまいます。