お年寄りを狙った悪徳商法が急増しています。国民生活センターの調査によれば、とくに標的にされがちなのが、一人暮らしの人。健康器具や住宅改修などを言葉巧みに勧められ、つい高額の契約を交わしてしまうケースが多いよう。なかでも痴呆のお年よりの場合は注意が必要ですね。こんな被害を食い止めるためには、成年後見制度を適用する方法もあります。
事例ファイル
Aさんには、一人で年金生活をしている77歳のお母さんがいます。あるとき、預金通帳の残高がほとんどないことに気づいたAさん。お母さんに尋ねたところ、「着物を買ったのよ」とのこと。購入の際、交わしたという契約書を見ると、なんとこの2年間で13回も着物や帯を購入していたことが判明。しかし、お母さんが着物を着ることはめったにありません。 医師の診察を受けてもらったところ、なんとお母さんは「アルツハイマー型痴呆症」だったことがわかりました。思い余ったAさんは、消費センターに相談。そのうえで相手の信販会社などに掛け合ってもらい、話し合いをおこなうことに。長い問答の末、納品されていない着物については解約が成立しましたが、すでに届けられた着物の代金のほか、違約金10万円を支払うことになってしまいました。 |
こんな問題を防ぐために、設けられている制度があります。それは「成年後見制度」。
成年後見制度ってなに?!
成年後見制度は、こうした悪徳商法に遭いがちな痴呆のお年寄りなどを保護・支援するための制度。大きく分けて、「法定後見制度」と「任意後見制度」のふたつがあります。
法定後見制度
判断能力の不自由な人にかわって財産管理や遺産分割など法律行為をおこなう人を定めます。種類は次の3つ。
◆後見
自分の財産を管理・処分できない場合
こんな人が対象・・・日常的に必要な買い物ができず、誰かに代わってもらう必要がある
◆保佐
財産の管理・処分について、つねに援助が必要な場合
こんな人が対象・・・不動産の売買、自宅の増改築、金銭の貸し借りなど重要な財産行為ができない
◆補助
財産の管理・処分について、ときに援助が必要な場合
こんな人が対象・・・重要な財産行為について、自力でできるかどうか心もとない
任意後見制度
将来、判断能力を失ったときのため、財産管理や遺産分割などの法律行為を任せる人を登録しておく制度です。任意後見人の職務を監督する任意後見監督人を選任してもらいます。
次のページでは、後見人資格者や申請方法についてご紹介します