4月からの新生活が始まりました。この季節、医療機関では企業を中心とした集団健康診断で、てんてこ舞いの状態が続いています。ところで、コレステロールが気になるから前日に運動をして下げようとしています、なんてことはありませんか? 前日の生活状況によっては、検査結果に影響することがあります。今回は医師の立場から見て判定に迷う検査結果と前日の生活状況の関係についてご紹介します。
健康診断の意義を正しく理解しましょう
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前日に激しい運動や発熱があると、それだけでも尿蛋白が陽性に出ることがあります |
健康診断は、あくまでも普段の状態を調べるのが目的です。ところが、健康診断に備えて規則正しい生活をして、終われば元通り……という方もいらっしゃいます。確かに、前日の生活状況が検査結果に影響を与えることがあるのですが、本来の目的を逸してしまっては健康診断の意味がなくなってしまいますね。
また、健康診断の大前提ですが、本来はできるだけ少ない負担・検査によって病気を早期発見することが目的です。簡単な方法で病気のある可能性のある人をできるだけ見つけ出すことを
スクリーニングと呼びます。このため、実際には病気ではないとしても、スクリーニングによって小さな異常所見でも「異常(所見)あり」と判定し、次に精密検査や再検査などを行うことで本当に病気かどうかを判断することになります。
異常所見を自分で作ってしまう生活?
- 中性脂肪が高い(高脂血症が疑われた)
- 血糖値が高い(糖尿病が疑われた)
- 肝機能障害があった
- 尿蛋白が陽性だった
- 血圧が高い
直前の生活状況が検査に影響を与えるものとして、このような例があります。本当に病気が潜んでいることもありますので一概に判断はできませんが、前日の食事時間や睡眠時間、運動をすることによってもこうした「見かけ上の異常所見」が出現することがあります。自分で病気を作り出さないよう、正確な検査を受けるための注意点を確認してみましょう。ちなみに、特に若年女性の方ではレントゲン写真にTシャツの柄が写った結果、異常あり、と判定されることも時々あります。
次のページでは健康診断前日の生活注意点をご紹介します。