健康診断・検診・人間ドック/尿検査(尿酸値)

要チェック! 尿タンパクと歯の健康(2ページ目)

生命にかかわる体の異常というと、心臓疾患や脳疾患、あるいはメタボリック症候群に注目が集まります。今回は視点を変えて、放っておくと重大な事態を招く「見過ごされやすい病気」についてご説明します。

執筆者:吉國 友和

蛋白尿から疑われる病気

立ちくらみ
体調不良の原因を「忙しさ」だけで片付けてしまうと大変なことに……!
蛋白尿が出る原因は、運動や発熱などの生理的な(健康な人でも見られることのある)ものを除外すると、次の3つに分類されます。
  • 糸球体性……糸球体腎炎、ネフローゼ症候群、腎硬化症、膠原病、糖尿病性腎症など
  • 尿細管性……間質性腎炎、重金属中毒(水銀・カドミウムなど)、移植腎拒絶反応など
  • 溢流性……多発性骨髄腫、横紋筋融解症など
これらを覚える必要はありませんが、腎臓そのものが原因だけでなく、高血圧や糖尿病などによる二次的な腎臓への負担が蛋白尿として現れている可能性もあるのです。

こうした原因に関わらず、尿蛋白などの腎臓疾患を示す所見の存在、あるいは、中等度以上の腎機能低下が3ヶ月以上続く場合慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)と表現するようになりました。慢性腎臓病が進行すると、透析が必要になることもあります。尿蛋白だけであれば早期の段階かもしれませんが、尿蛋白が陰性の人と比べると2倍以上の速さで腎臓の機能が低下するとも考えられています。試験紙法によって尿蛋白陽性(2プラス以上:尿タンパク 2+以上)と判定された人では、特に注意です。


慢性腎臓病の対策は?

慢性腎臓病を詳しく調べるには、血液検査や蓄尿検査(24時間尿をためる)が必要です。これによって、慢性腎臓病がどの段階にあるのかを判定し、それぞれに応じた治療を行うことになります。この慢性腎臓病を予防するには、メタボリック症候群と同様に生活習慣の見直しが第一です。
  • 禁煙
  • 塩分摂取量制限(1日あたり6~7グラム以下)
  • 肥満解消のために適度な運動
  • 蛋白(肉類)摂取量の制限
  • ストレスをためない
頭痛もちの人が常習的に服用せざるを得ない解熱鎮痛剤(NSAIDs)や夏に多い脱水も腎臓の機能を低下させる危険があります。


内科医の立場から、セカンドライフの落とし穴として慢性腎臓病を中心に解説しましたが、歯の健康も非常に大切だと考えています。人生の節目には歯科検診と健康診断を受けて、病気の早期発見に努めましょう。


【関連リンク】
・ 歯周病を侮ってはいけません!
心筋梗塞、狭心症 歯周病が命を狙う!(All About 歯の健康)
・ 特定検診のおさらいをしておきましょう
Yes/Noで判定 バーチャル特定健診!(All About 50代からの健康法)
・ 全身の健康チェックは人間ドックで
人間ドックで調べておきたい臓器トップ3!(All About 50代からの健康法)
・ 健康とは心身ともに健やかな状態です
あなたへの処方箋 ストレスに強い体作り(All About 50代からの健康法)

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます