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女性の9人に1人がかかる「乳がん」、早期発見する方法は?

【医師が解説】日本では女性の9人に1人が「乳がん」になるといわれており、この数は年々上昇しています。乳がんが増えている原因・理由として考えられること、早期発見のためのセルフチェック法、乳がんかもしれないと思ったら何科を受診すべきか、乳がん予防のためにできることなど、乳がんの基本知識を解説します。

山田 恵子

執筆者:山田 恵子

医師 / 女性の健康ガイド

女性の9人に1人がかかるといわれている「乳がん」

20~30代にも珍しくない乳がん。早期発見できればほとんどが治せるがんでもあります

20~30代にも珍しくない乳がん。年々増加していますが、早期発見できればほとんどが治せるがんでもあります


日本では女性の9人に1人が「乳がん」になるといわれており、この数は年々上昇しています。国立研究開発法人国立がん研究センターによるがん「情報サービス」では、2020年の乳がんによる死亡者数は1万4779人にのぼりました。一方で、乳がんは、早期に発見・治療すれば治癒率が高いがんでもあります。

乳がんへの正しい知識と早期発見の大切さの啓発を目的として、毎年10月には「ピンクリボンキャンペーン」が開催され、都庁やレインボーブリッジなどがピンクにライトアップされます。今回は、乳がんの基本的な知識についてお届けします。
 

乳がんが増えている理由……少子化、女性の社会進出なども一因か

乳がんには「エストロゲン」という女性ホルモンが多く関わっていると考えられています。大雑把な解説になりますが、「エストロゲンにさらされている期間」が長ければリスクが高まります。「エストロゲンにさらされている期間」とは、「生理がある期間」と思っていただければよいでしょう。

つまり、女性の社会進出が進んで初産年齢が上がり、少子化傾向が強まって女性一人が出産する回数が減っていけばいくほど、エストロゲンにさらされている期間は長くなり、その分、乳がんが増加する傾向になるともいえるのです。
 

乳がんは早期発見・早期治療が重要。20~30代も注意を

乳がんはごく早期に発見できれば、なんとほぼ95%が治る可能性があるともいわれています。95%というと、非常に高い確率です。

とにかく、早期発見・早期治療が大事なのです。

20代、30代ではあまり「がん」という言葉自体にぴんとこないかもしれませんが、20歳過ぎから乳がんの発生は認められます。そして、年を追うごとにだんだん増加し、40歳代後半から50歳代前半にピークを迎えます。
 

乳がんになりやすい人の傾向・共通点……年齢・遺伝・エストロゲンなど

乳がんになりやすい条件として、以下のものが挙げられています。
  • エストロゲンにさらされている期間が長い人…妊娠・出産回数が無かったり、初潮年齢が早い、閉経年齢が遅い、など
  • 肥満…脂肪細胞もエストロゲンを作るため
  • 家族に乳がんの人がいる
詳しくは「どんな人が乳がんになりやすい?」もあわせてご覧ください。

 

乳がんの自己検診・セルフチェックの方法

乳がん早期発見のためには医療機関での定期健診はもちろん大事ですが、「いつもと何かが違う……」という自分の体の変化もわかるようになっておきたいものです。

そういった意味で、乳がんの自己検診の方法を知っておくことはとても大切です。例えば生理がある方は、「生理が始まった3日目に試してみる」といったふうに、月に1度日にちを決めてチェックを行うのはいかがでしょうか。具体的なチェックポイントは「しこり、引きつれ、分泌物、痛み」などです。

また、セルフチェックでしこりがあったら全部乳がんというわけではありません。見つかるしこりの90%以上は、さしあたって治療の必要のない良性のものという報告もありますので、過度には心配しすぎず、ただし、異常があったら、一度は病院で検査を受けるようにしましょう。
 

乳がんかもしれないと思ったら病院は乳腺外科の受診を

「乳がん」=「女性特有の病気」なので、なんとなく「婦人科?」と思われてしまうかも知れませんが、実は一番の専門は「外科」、特に「乳腺外科」です。

あまり知られていないかもしれませんが、乳がんの治療には「外科」「内科」「産婦人科」「放射線科」の4つの科が関わります。本当にがんだった場合は、治療の内容によって、これらの4つの科のいずれかで治療を進めることになります。詳しくは「乳がん治療は何科?どんな治療法があるの?」記事もあわせてご覧ください。
 

乳がん予防のために注意すべきこと・予防に有効なこと

肥満や過度の飲酒は乳がんのリスクを高めると考えられているので、気をつけましょう。また、適度な運動は乳がん予防効果があるといわれています。特に閉経後の女性では運動がリスクを減らすと考えられています。脂質、野菜・果物、食物繊維、イソフラボンなどは、注目されていますが、まだはっきりと効果はわからないようです。
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