転職先を探す手段、ツールとしては、ハローワーク、民営職業紹介所、学校など職業紹介機関を利用する方法、求人情報誌、新聞、求人情報サイトなどに広告として出稿されている情報を入手する方法のほかに、勤務先から紹介を受けたり、友人・知人から紹介してもらうなどの方法があります。
これらの方法を複合的に組み合わせることが、納得のいく仕事探しには不可欠ですが、今回とくに、「縁故」に限定して、その活用状況を調べてみました。
厚生労働省が毎年行っている『雇用動向調査』には、1年間に新しく入職した人(転職などで入社した人、新卒者も含む)の入手経路に関するデータが含まれています。これによると、勤務先からの斡旋を含む「縁故」の割合は、年齢が高くなるほど比重が高まる傾向にあります。
これは、公募における応募年齢の制限などもあって、高齢になればなるほど一般公募では求人情報が探し出しにくいという事情のほかに、年齢を重ねるごとに社会人としての経験と比例して人脈が広がるため、その人脈を通じて求人情報を入手できる範囲も広くなることなどが理由として考えられます。とくに、男性では40歳以上となると公募情報で応募できる求人もかなり限定されてきますので、人脈を通じた情報収集は欠かせない手段になるといっていいでしょう。
なお、同じデータをもとに、産業別の「縁故」活用の割合を比較してみました。それによると、産業別では建設業、電気・ガス・熱供給・水道業、金融・保険業などで平均より高く、不動産業では平均を大きく下回りました。
業種別入手経路に占める「縁故」の割合(%)
調査産業計 23.9
鉱業 26.6
建設業 45.7
製造業 23.8
電気・ガス・熱供給・水道業 31.6
運輸・通信業 24.8
金融・保険業 29.1
不動産業 7.9
卸・小売、飲食業 19.2
サービス業 23.9
サービス業のうち、情報サービス・調査業は12.8%、専門サービス業は25.5%、医療業は22.4%などとなっています。この差がどこから生じているのかは不明ですが、業界により経験者を欲しがる程度とか、公募による採用のしやすさなどが反映しているものと思われます。
以下、コマーシャル。
この縁故に関して、そのメリットやデメリット、具体的な活用のための人脈の掘り起こし方などを盛り込んだ新しい本、『定年後の仕事選び』が、日本経済新聞社編として2月28日より発売となりました。定年退職を控えた人向けの本ですが、人脈活用の点では、若い方にも参考にしていただけると思います。
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