転職のノウハウ/転職成功事例

バイトや派遣を経験 女性経営者のキャリア(2ページ目)

経営者へのキャリアパスを探る企画として、前回、若手の気鋭の弁護士社長をご紹介しました。今回はその第二弾、女性経営者の方に取材をさせていただきました。株式会社ポーラスタァの高沖清乃社長です。

執筆者:高野 秀敏

起業して良かったこと・辛かったこと

■社長になってみて、サラリーマン時代の経験で役に立ったことを
教えてください(高沖さんの強みについて)

リクルート、出版社、IT企業の3つの会社で、それぞれ違ったスタイルの「編集物」を担当させていただきました。雑誌だったり、フリーペーパーだったり、ネット媒体だったり、あるいはビジネスモデルが広告収入だったり、読者購読料だったり…と、本当に多種多様な媒体。これらそれぞれの特徴や編集の仕方、見せ方、読者の動きの違いなどを学べたことが、今の仕事に直結しています。

また、アルバイト、派遣社員、専業主婦、契約社員など、さまざまな雇用形態を経験したこと。これに合わせて、就職先も、飲食店、フランチャイズ、ごく小さな会社、財閥系の大企業、外資、ベンチャーなどなど、実に様々な企業で仕事をさせてもらったおかげで、世の中の人々(すなわち、ユーザーや読者や消費者)の暮らしや考え方にたくさん触れることができたのではないかと思っています。

たとえば、財閥系企業で働く丸の内のOLさん、ベンチャー企業の女子、フリーターの女の子では、年齢や住んでいる場所が近くても、まったく違った好みや考え方を持っている。そういうことをリアルに体験できたことは、コンテンツ事業を展開する上での大きな財産の一つだと思います。

■株式上場(IPO)についてはどうお考えですか?
ないです。まったくないです。好きなことをしたくて会社を飛び出したので、徹底的に好きなことをし倒します。お金を投資いただくことで口も出てくるのでは、飛び出した意味がありませんから。

■独立してよかったこと(感動した出来事など)
すべての物事が単純明快、わかりやすくなったことでしょうか。これから先はそうもいかないのかもしれませんが、現時点では、何をやるにしても、「結果」と「人の気持ち」だけを見つめていればよいので、これが本当にラクというか、幸せに感じます。組織にいるとどうしても、しがらみやら、意味のない会議や書類やら、建前やら付き合いやら政治やらで、ついつい大切なことを見失ったり、後回しにしてしまいます。それをしなくて良くなったことが、なにより独立に意味があったなぁと感じる部分です。

■独立してとても大変だったこと
恥ずかしながら、独立する前まで私は「部下」というものを1人も持ったことがありません。ずっとアルバイトや平社員だったので。そのせいで、マネジメントとか採用といったスキルがまるでないのです。ですので、採用・マネジメントの部分が最も難しく感じられます。今後、もう少し人数も増やしたいと思っているため、この部分に目をそむけずに、勉強とプラクティスをかさね、1日も早く働きやすい会社となり、良い人事・よい採用をしたいと思っています。


■将来社長になりたい人に向けてメッセージをください
おそらく、いつだって誰だって社長になるのは簡単です。問題はどんな社長になるか。成功の物差しは人それぞれですから、ラクして稼げる社長になりたいとか、世の中の役に立つ事業をしたいとか、モテたいとか、家族を楽にしたいとか、好きなことをしたいとか、上場したいとか、世間をあっといわせたいとか、故郷に錦を飾りたいとか(?)…。とにもかくにも、自分にとっての社長像を掲げられたら、あとはもう実行するのみですね、きっと。


【ガイド高野の分析】
インタビューをして、高沖さんに注目したことが3つありました。

●様々な雇用形態を経験している
バイト、派遣、契約、社員、専業主婦など、いくつものワークスタイル、ライフスタイルを経験してきているというのは面白く、貴重な体験だと思います。また、起業家のキャリアという意味でいえば、大企業で長く働いたという方よりも、いくつかの転職経験を挟んで起業しているという方が比較的多いようです。多くの起業家が、サラリーマン時代の経験が役に立っていると伺うことがあります。

●編集についての強みがある
キャリアとしてみた場合に、転職しながら、多くは編集関係の仕事をやってきたということ。それが紙媒体であったり、ウェブであったりと。転職は回数が多いとよくないという意見も多々ありますし、面接で不利になることもありますが、何かに筋が通っている、一貫しているとそれもまた強みになります。

●大きな会社よりもこだわりのある会社にしたい

IPO(株式上場)を目指し、社会の公器となるべく、努力を重ねている社長もいれば、規模にはこだわらず、納得のいくサービスを、コツコツと積み重ねていきたいという方もいます。株式市場の経過をみてみますと、リーマンショックの時期はリーマンブラザーズをはじめとして、大手の金融機関が破綻してしまうなど、冬の時代といえたかもしれません。しかし経済の状況は必ずしもよくないものの、こだわりのある会社、顧客をよくみている会社、強みのある会社については、まったく問題なく、事業運営がなされていたようです。

経営者になるには、
・昇進して社長になること
・ヘッドハンティングされて社長になること
・起業すること

上記の3つの方法があると思います。起業をするのは、一番簡単な「社長のなり方」ですが、もっとも継続するのが難しいともいえます。日本の社会では、ライブドア事件以降、「ベンチャーブーム」にかげりが出ているかと思います。しかし、このような時代だからこそ、逆張りということで、人と違うことをやる、世の中に必要な事業を立ち上げるという気概をもっともってもらいたいものだと、ガイド高野は思う次第です。

起業をする、経営者になるという転職も、少しでも興味があれば、是非ひとつあなたのキャリアプランに入れてみてはいかがでしょうか。
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