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中国の少数民族、今後の情勢

中国にはチベット族だけでなく、人口割合は少ないものの、たくさんの少数民族が暮らしています。チベット騒乱は中国の少数民族支配に影響を与えるのでしょうか。

執筆者:辻 雅之

中国には少数民族が「55」ある

中国地図
民族自治区以外にも、少数民族は広く居住している。
中国には今大きな注目を浴びているチベット族のほか、モンゴル族やウイグル族など、55の少数民族が存在するとされています。

55、という数字は中国による「民族識別」によって確立したものです。1950年代までは400ものグループが「民族」と名乗っていましたが、中国はこれを「大きすぎず、小さすぎず(小さすぎる少数民族は大きな少数民族のけん制にならない)」、55に区分したのです。

もっとも多い「少数民族」は中国西南部のチョワン族で1500万人。2位が東北部の満族(満州族)で1000万人。3位が中国中央北部でイスラム教を信じる回(ホイ)族で900万人。以下、ウイグル族、ミャオ族、イ族、モンゴル族、チベット族と続きます。チベット族はおよそ480万人とされています。

チベット騒乱は拡散するか

さて、現在のチベット騒乱は他の民族に広がっていくのでしょうか。

おそらくあまり広がらないでしょう。理由としては、他の民族の多くは中国への帰属意識が高い、または他の民族は少数民族として保護されているなどむしろ大きなメリットを中国から受けていることなどをあげることができるでしょう。

ただ、ウイグル自治区の民族には広がるかもしれません。もともと1930年代に「東トルキスタン共和国」が生まれながら中国に併合された地域。イスラム教がさかんで、なかなか中国化しない地域。独立を目指す組織もあるといわれ、チベットに似ていなくはありません。

すでに中国政府はずいぶん前から、この地でのイスラム原理主義の台頭を懸念し数々の対策を講じています。現在中国政府が神経を尖らせているのは、ウイグル分離独立運動への拡散かもしれません。

■関連サイト 中国政治の基礎知識2007[政治制度編]
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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