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今週の政治用語解説は、「暫定税率」。今年の通常国会における最大の争点といわれていますが、いったいどういうために設けられている税率なのでしょう。これを機会に知っておきましょう。
オイルショックを機会に創設
ガソリン税といわれる二税の本来の税率と暫定税率の比較 |
きっかけは1973年に起こった第1次オイルショック(石油危機)でした。
第4次中東戦争のあおりで石油価格が急騰し、狂乱物価など激しいインフレーションを生んだオイルショックですが、日本は国家をあげて「省エネ化」をめざしました。深夜放送が自粛され、ネオンサインが消えるなどその努力は相当なものだったのです。
そして、省エネのため石油資源を節約し、石油の消費を抑制することを狙いとして、ガソリン税などの税率を上乗せする暫定税率が課せられることになったのでした。
暫定税率はガソリン税だけでなく、同じ年に自動車取得税、自動車重量税に、1976年には軽油取引税にも創設され、これらはすべて現在に至るまで続いています。
本来は「暫定」という一時的な税率であったはずなのですが、30年たった今でも、何度も延長措置がとられ、存続しているのです。
暫定税率と本来の税率
暫定税率と本来の税率(「本則税率」といいます)の比較は、下記の通りです。・揮発油税 本来の税率 1リットルにつき24.3円
暫定税率 1リットルにつき48.6円
・地方道路税 本来の税率 1リットルにつき4.4円
暫定税率 1リットルにつき5.2円
・自動車取得税 本来の税率 取得価額の3%
暫定税率 自家用車は取得価額の5%
・自動車重量税 本来の税率 年間で0.5トンにつき2,500円
暫定税率 自家用車の場合年間で0.5トンにつき6,300円
・軽油引取税 本来の税率 1リットルにつき15.0円
暫定税率 1リットルにつき32.1円
暫定税率の期間
暫定税率はさきほどもお話しした通りあくまで「一時的」なものですから、「租税特別措置法」などの特別な法律によって期限が決められています。揮発油税と地方道路税、いわゆるガソリン税は1993年に暫定税率を引き上げて延長され、その後1998年、2003年と延長されました。2003年延長分については、2008年の3月31日までが期限となっています。
また、他の税の暫定税率も、2003年に延長され、今年がその期限となっています。
暫定税率を延長するか廃止するか?
暫定税率を維持したい政府・与党と廃止を主張する野党の主張。 |
そのため、今年が期限となる暫定税率を廃止、もしくは税率を下げることが必要なのではないかという声があがっています。
一方で、ガソリン税などは道路特定財源として利用されており、暫定税率がなくなったりすると、道路整備がうまくいかないという声もあります。地方の道路整備はもとより、道路整備事業の一環として行われている首都圏などの鉄道整備事業にも影響が出てくるともいわれています。
いずれにせよ、暫定税率を維持したい政府と、廃止を主張する野党との間で、今年の通常国会は大きな論戦が交わされることになるでしょう。
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※参考書籍・サイト
『図説日本の税制 平成19年度版』 星野次彦/編著 2007 財政詳報社
『図説経済財政データブック 平成19年度版』 中里透・参議院予算委員会調査室/編 2007 学陽書房
毎日新聞