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どうなる2008台湾総統選挙(2ページ目)

今年は陳水扁総統の任期が切れて、8年ぶりに新総統が決まる総統選が行われる台湾。台湾の政治情勢、政治システムの基礎知識とあわせて、台湾総統選についての情勢をわかりやすくお伝えしたいと思います。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【台湾政治システム、基本知識】
2ページ目 【台湾の二大政党と独立問題】
3ページ目 【台湾総統選挙のゆくえは?】

国民党:一党独裁支配から野党へ

国民党
反共政党から「中国との融和」へ
国民党のルーツは「革命の父」孫文にまでさかのぼります。1930年代からは「中華民国」の主導政党として中国を支配することになります。

しかし、第2次世界大戦が終わったあとの共産党との内戦(国共内戦)で破れた国民党政府は、1949年に台湾に逃れて台北を「臨時首都」とし、共産党が支配する「中華人民共和国」と対峙することになります。

一方、国民党は台湾を独裁的に支配し、反政府運動は厳しく押さえつけられました。

しかし1980年代になると、国民党の一党独裁支配に対する民衆の抵抗運動が活発になっていきます。1988年、李登輝が総統になると、急速に民主化が進み、相当直接選挙などが実現していきます。

しかし、李登輝の民主化路線は国民党にとっては諸刃の剣でした。

1989年の「党禁」解除、つまり複数政党制の容認によって合法化された民主進歩党(民進党)は、その後徐々に勢力を伸ばしていき、2000年の総統選挙でとうとう民進党の陳水扁(現在の総統)が当選、国民党は野党になってしまいます。

2004年の総統選でも国民党は陳水扁の総統再選を許し、ここ8年間、かつての独裁政党だった国民党は野党の座に甘んじています。

しかし、中央省庁の官僚たちはまだ国民党の党員が多く、また日本の自民党のように、地方の地盤が強固であるといわれています。一時は党の分裂なども相次ぎましたが、ここにきてまた団結が強まっているとみられます。

民進党:反体制から台湾独立の主張へ

民進党
民進党、結党から政権獲得まで。
1986年、「党外」(反国民党派の人々)勢力を結集し、その活動を開始した民進党は、同年さっそく立法委員選挙で議席を獲得、その後徐々に勢力を伸ばして行きます。

また、民進党は積極的に街頭デモを行い、民主化をアピールして行きます。このことが、1989年の複数政党制導入を促し、その後の台湾民主化の原動力になったといわれています。

そして民進党は、1991年から公式に「台湾独立」を主張するようになります。現在の「中華民国」体制を「よそ者が作った外来政権」であり「台湾人を抑圧してきた」と考え、独立によって「台湾意識」を高め、解放しようというわけです。

ただし、台湾の「事実上の独立」をめざすのか、「台湾共和国」をめざすのか、党内の意見が一致しているわけではないようです。

そして2000年、陳水扁が総統選挙に勝利し、民進党は「与党」になります。陳水扁は1994年に台北市長に当選し、評価を受けていました。再選することはできませんでしたが、今度は総統選に照準を絞り、見事勝利したというわけです。

陳水扁は8年間の長期政権を保ち、その間に「台湾独立」「憲法改正」などを訴えましたが、経済政策はあまりうまくないという評価もされています。IMF(国際通貨基金)の資料によると、台湾の一人当たりのGDP(国内総生産)は2005年には15,120ドルで、韓国(16,422ドル)に抜かれてしまっています。

ナショナリズムを動かすことは得意だけれど、経済はあまり……というのが民進党に対する台湾の人々のおおむねの評価のようです。

経済と中国との関係をアピールする国民党

李登輝が総統の時代には台湾独立に近い考え方を持った人々も多かった国民党ですが、2001年、李登輝は新党「台湾独立連盟(台連)」を結成し、国民党は「中華民国体制維持」で再びまとまりました。

これはつまり、中華民国はいまだ中国全土を代表する政権であり、台湾の独立には反対するという主張です。

ただもっとも、本気で台湾政府が中国全土を代表する、と考えている党員は少ないでしょう。台湾の現状維持をはかることによって、台湾独立に対し強硬に反対している中国との「有事」を避けようとするのが、この主張の背景にはあります。

そして2005年、国民党の連戦主席(当時)は中国を訪問し、胡錦涛国家主席などと会談。経済交流などの話し合いを行い、その後も国民党はたびたび中国を訪問、経済成長著しい中国との「太いパイプ」構築に力を入れています。

それでは2008年3月に行われる台湾総統選挙についての動きを、次のページでみていくことにします。
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