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「政治とカネ」制度と問題をじっくり説明!(3ページ目)

「政治とカネ」……安倍前政権から再燃したこの根深い問題について、政治資金の制度はどうなっているのか、問題点は何か、じっくり説明してみました。

執筆者:辻 雅之

1ページ目 【政治資金の収支は報告されなければならない……が】
2ページ目 【政治家個人への巨額な献金は禁止されている……が】
3ページ目 【政党交付金制度でクリーンな政治資金となるはず……が】

政党助成法・政党交付金とは

政党交付金
主要政党の平成18年度分。総務省発表資料よりガイド作成。日本共産党は交付金を受け取っていない(収入総額282億円)。
前のページで見たような、寄付という名目で行われる政治家や政党への団体・企業献金をできるだけなくし、公正な政党活動が行われるようにするため、1994年に政党助成法が制定されました。

つまり、われわれの税金から一定の資金(政党交付金)を政党に分配し、それを政治活動の大きな資金源とさせることで、わいろまがいの献金をなくしていこう、という法律なのです。

ただ、税金を政党に交付することには批判も多くあります。日本共産党は、この制度に反対して政党交付金の申請を行っていません。

しかし、自民党や民主党のように、党費収入の少ない政党にとって、この政党交付金の存在は非常に大きなものです。自民・民主両党とも収入の半分以上をこの政党交付金でまかなっているのです。

赤ちゃんも払う? 政党交付金

政党交付金は毎年、条件を満たした政党に支給されます。条件を満たした政党とは、所属国会議員が5人以上いるか、直近の国政選挙で2%以上の票を獲得した政党のことです。

この政党に対し、毎年交付される政党交付金の総額は、

[国勢調査の結果に基づく人口]×250円

となっています。

有権者数×250円ではないのですね。赤ちゃんも人口に入るわけですから、なんだか赤ちゃんも含めて日本人一人が250円ずつ政党に支払っているような感じを受けますね。

政党交付金支出の公開義務

政党交付金の使途は基本的に「自由」です。自由な政党活動を保障するためです。

ただし、私的に流用されては困ってしまいます。そのようなことがないように、政党は政党交付金をどのように使ったか、報告しなければなりません。もちろんその報告は公開されます。

そのため政党は、交付金についての支出報告書を総務大臣に提出しなくてはなりません。このとき、5万円以上の支出については領収書を写したものの提出が必要となります。

また、政党の支部が本部から政党交付金を受け取り支出をした場合も、報告をしなければなりません。やはり、5万円以上の支出には領収書の写しの提出が必要となります。支部はこれを、本部と都道府県選挙管理委員会の両方に報告しなければなりません。

さらに、これら政党の報告書については、公認会計士か監査法人による監査意見書を添付しなければなりません。

それでも私的流用の可能性はある?

政党交付金の問題
政党支部が実は政治家個人の組織と一体化している場合も多い。税金から出ている政党交付金がここに流れていることはないのか?
ここまで厳重なシステムを整えていても、私的流用の可能性がないとはいえません。現に、支部の支出報告書に虚偽の記載をした衆議院議員が逮捕、一審で有罪判決を受けている例があります(その後、被告死亡により確定判決はなし)。

政党の支部は、小選挙区ごとに設置されていることが普通ですが、この支部長はその選挙区の国会議員や立候補を予定しているひとがなることが普通です。というより、議員の後援会組織そのものが政党本部より「支部として指定」されているのが実情です。

例えば国会議員が支部長、親族や友人が会計責任者……といった状況では、交付金が私的に流用されてもなかなかわかりずらいところがあるでしょう。支部事務所が入っているビルのオーナーと結託し、本当より高い家賃を請求してもらうということも、狭い小選挙区のレベルでは、可能かもしれません。

政治資金報告は1円以上の領収書添付を義務付ける動きが起こっていますが、政党交付金の報告についても、同様の措置が必要かもしれません。

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▼こちらもご参照下さい。
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