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「政治とカネ」制度と問題をじっくり説明!

「政治とカネ」……安倍前政権から再燃したこの根深い問題について、政治資金の制度はどうなっているのか、問題点は何か、じっくり説明してみました。

執筆者:辻 雅之

(記事掲載日/2007.09.27)

最近の政治は「政治とカネ」問題に揺れています。しかし、みなさんはこのことについてどのような規制が行われ、どのように不正防止システムがあるかご存じですか?わかりやすくお話します。

1ページ目 【政治資金の収支は報告されなければならない……が】
2ページ目 【政治家個人への巨額な献金は禁止されている……が】
3ページ目 【政党交付金制度でクリーンな政治資金となるはず……が】

政治資金とはどのようなお金か

政治資金とは
政治資金には、寄付によるもの、政治資金パーティーで集めた資金、政党交付金、主にこの3つがある。
政党や政治家が集めたり、使ったりする「政治資金」には、主に3つのものがあります。

・寄付によるもの……いわゆる「献金」はこれに該当
・政治資金パーティーで集めた資金
・政党交付金……国から支給

寄付と政治資金パーティーで集めた資金は、政治資金として大切なものです。しかし、特定の寄付者あるいはパーティー券を購入した人などに対し、政治家たちが特別な便宜をはかるようなことがあってはいけませんね。

一方、政党交付金はわれわれの税金から支給され、政党や政治家の活動に使われているものです。これらが、不正な使い方をされてはいけないのはもちろんです。

このようなことから、政治資金の管理については、わいろ的な寄付や不正な資金支出を防止するため、罰則を含めた規制が行われているのです。

寄付つまり献金と政治資金パーティーで集める資金については、「政治資金規正法」によって規制が行われています。一方、政党交付金については「政党助成法」によって規制が行われています。

それではまず、政治資金規正法の中身から見ていきましょう。

政治団体の定義

寄付と窓口団体
政党と政治家は、寄付を募る団体としてそれぞれ団体を1つだけ作ることができる。
政治資金規正法では、寄付を募ってさまざまな政治活動を行う団体のことを政治団体と呼んでいます。政治団体はすべてこの法律によって収支の管理、報告が義務づけられています。

政党も政治団体の1つです。政党は、国会議員が5名以上所属しているか、直近の国政選挙などにおける得票率が全国で2%以上になる団体をいいます。

政党は政治団体のうち1つを(または新設して)「政治資金団体」とすることができます。政治資金団体は政党のために寄付を募り、これを政党の政治資金とします。

2006年現在、自民党は「財団法人国民政治協会」を、民主党は「国民改革協議会」を、公明党は「財団法人公明文化協会」を、それぞれ政治資金団体として指定しています。

政治家(ここでは、政治家になろうとしている人も含む)も政治団体を主宰することができますが、政治資金を集めるために作ることのできる「資金管理団体」は1つしか指定できません。

こうして指定・登録された政治団体は、収支報告書を必ず提出しなければなりません。提出しなかったり、報告書にウソの記載をするなどした場合は、刑事罰の対象となります。

収支報告制度の問題点

収支報告書は、団体本部のある都道府県に提出します。

そこには、党費または会費、寄付(5万円以上の寄付は寄付者などを報告)、政治パーティーの収支、その他の事業(機関誌発行など)の収入や、経費・政治活動費などの支出を記載しなければなりません。

ところが、これまでは人件費や光熱水費といった通常経費の報告には領収書がいらなかったのです。自己申告ですね。そのため、あの自殺した松岡元農水相が疑惑をもたれたように、「何か表に出せない支出を水道代につけかえる」ようなことができるのではないか、と批判されるようになりました。

そこで、2007年の通常国会で政治資金規正法が改正され、人件費を除く通常経費についても領収書による報告が義務づけられ、また支出報告のときに領収書が必要な金額を5万円から1万円へと引き下げました。

この改正は2008年から施行されますが、「1円以上から領収書をとって報告すべきだ」という声も野党を中心としてあがっており、近いうちに再々改正が行われるかもしれません。

次ページでは、「政治献金」ともいわれる「寄付」についてみていきます。ここにも「迂回献金」という問題が……
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