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2007参院選、最終局面のここが見どころ!(4ページ目)

29日に迫ってきた第21回参院選。いよいよ最終局面に入ってきました。今度の選挙の見どころや、各選挙区の選挙戦の情勢をお伝えします。

執筆者:辻 雅之

1 【今回の選挙、ここが見どころ】
2 【北海道・東北・関東地方の選挙情勢】 3 【北陸甲信越・東海・近畿地方の選挙情勢】
4 【中国・四国・九州地方、比例代表区の選挙情勢】

中国地域の選挙区情勢

●岡山 定数1[激戦]※注目区

自民党参院幹事長で現職の片山虎之助と民主新人姫井由美子が激しく競る。自民大物候補を相手に民主新人が互角の戦いでまさに注目区。焦点は郵政造反離党組で唯一昨年末に復帰しなかった大物衆院議員・平沼赳夫氏サイドの動向。平沼氏は片山支持を打ち出しているが、平沼支持者が具体的な支援行動に出ているかは不透明。選挙日当日までもつれそうな勢い。

●広島 定数2[まず平穏]

民主新人の佐藤公治と自民現職で防災担当大臣の溝手顕正が安定した戦い。トップ争いを演じる。国民新党幹事長の亀井静香衆院議員が佐藤支持にまわったことで、保守票がどう動くかが焦点。無所属新人の河野美代子が追い上げている。

●山口 定数1[自民優勢]

安倍首相のお膝元で、自民現職の林芳正が安定した戦い。無党派層にも深く浸透。民主新人の戸倉多香子は、無党派層に深く浸透しているものの、3選を目指す林に対し知名度不足が響いている様子。

●鳥取 定数1[民主やや優勢]

民主新人で元衆院議員の川上義博が頭ひとつリード。元国会議員だった知名度と組織力を活かす。自民現職の常田享詳も支持固めを進める。鳥取市など東部で常田が、米子市など西部で川上が優勢な状況。

●島根 定数1[激戦]※注目区

国民新人、民主推薦の亀井亜紀子と自民現職の景山俊太郎が激しく競っている。各報道機関の情勢判断も分かれている。亀井は父の衆院議員亀井久興氏の地盤を、景山は自民党の地盤を堅くまとめている。無党派層の動向が最大の焦点。

四国地域の選挙区情勢

●香川 定数1[接戦]※注目区

自民現職の元閣僚・真鍋賢二に民主新人の植松恵美子が迫る。植松は05年の衆院選でも惜敗し、そのときからの知名度で支持を広げている。真鍋陣営は若干出遅れた感じで巻き返しを図る。やや植松有利という情報が多い。

●徳島 定数1[民主やや優勢]

民主新人の中谷智司が頭ひとつリード。2年前からの選挙運動で知名度は十分。自民現職の北岡秀二が追う展開。両者とも組織選挙を展開しており、両者とも課題は無党派層への浸透。

●愛媛 定数1[接戦]

野党系無所属新人の友近聡朗と元閣僚の自民現職関谷勝嗣が競る。地元Jリーガーだった友近は独自の選挙戦で無党派層に浸透。安倍首相ら党のトップが関谷のてこ入れに懸命。無党派層の動向が焦点だ。

●高知 定数1[激戦]※注目区

民主新人の武内規男と自民現職の田村公平が激しく競る。無党派層には武内が深く浸透している。田村は支持層を確実に固めている。武内ややリードという情報もあるが、安倍首相の「遊説拒否」にまで発展した田村の安倍政権批判が有権者の投票行動にどのように働くかが焦点。

九州地域の選挙区情勢

●福岡 定数2[平穏]

民主現職の岩本司と、自民現職の松山政司が安定した戦い。どちらも組織は固めており、トップ当選の行方は激戦。無党派層の動向がカギを握る。比例での両党勢力争いもあるため、最後まで激戦が続く模様。

●佐賀 定数1[接戦]

民主新人の川崎稔と、自民新人の川上義幸が競る。川崎が頭ひとつ抜けているという情報もあるが、民主県連代表が暴力団組長を弔問し辞任したことがどこまで尾を引くかという心配がある。川上は地元の金融機関粉飾決算問題の影響で急きょ差し換えられた候補。知名度の浸透に急ぐ。

●長崎 定数1[激戦]※注目区

民主新人の大久保潔重と、自民新人の小嶺忠敏が激しく競る。「久間原爆発言」で一時は民主に追い風が吹いたが、小嶺はサッカー名門校国見高校の監督として全国的知名度を誇るだけに、相当巻き返した形。無党派層の動向に注目。

●大分 定数1[自民やや優勢も?]

自民新人の磯崎陽輔を、民主系無所属の矢野大和、社民推薦無所属の松本文六、国民現職の後藤博子が追い上げている。もっとも野党分裂もあっての磯崎先行であって、組織固めなどの点において必ずしも万全ではない。終盤の戦いによっては二転三転あるかもしれない。

●熊本 定数1[民主やや優勢]

民主新人で元衆院議員の松野信夫が堅調な戦い。それを自民現職の三浦一水が追う。都市部では松野が、農村・漁村部では三浦がそれぞれ優勢。自民としては、松岡前農相の自殺に伴う衆院補選が分裂選挙となったため、その影響が参院でどこまで出てくるかが心配どころ。

●宮崎 定数1[混戦]※注目区

野党系無所属新人の外山斎が頭ひとつリードだが、自民現職の小斉平敏文、無所属元職の長峯基が互角に追い上げ、混戦状態。保守が小斉平と長峰に分裂し、その間隙を外山が突いている形。問題は無党派層の動向だが、無所属新人の東治男も支持を伸ばしており、さらに混迷の度合いを増している。東国原知事は動いていない。

●鹿児島 定数1[激戦]※注目区

自民現職の加治屋義人と民主新人の皆吉稲生が激しく競り合っている。加治屋は自民・公明の組織をほぼ固め、一方の皆吉は無党派層への浸透が非常に強い。両者譲るところがなく、当日までまったくわからない選挙戦になりそう。

●沖縄 定数1[野党優勢]

野党系無所属元職の糸数慶子が優勢な戦い。昨年の県知事選挙で惜敗した知名度を活かし、まんべんなく支持を集めている。自民党現職西銘順志郎は懸命に追いかけているが、県内で大きな話題となった沖縄戦集団自決に関する教科書検定問題が尾を引いている様子。

比例代表区(定数48)の情勢

中盤の情勢からみると、民主は20~25議席獲得する勢い。過去最高の獲得議席数となりそうだ。自民が20議席を割るのは確実な情勢で、過去最低の14議席を下回る可能性もある。

公明党は候補者を地域別に活動させ、手堅く7~8議席を獲得しそう。社民・共産両党は選挙前と同じ勢力を保つ感じ。国民は1議席獲得の可能性がある。与党がかなり低調なら新党日本にも1議席の可能性がある。


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