2ページ目 【韓国の国会と政党……政界再編はあるか】
3ページ目 【韓国政治情勢──2007年大統領選に向けて】
一院制の国会
韓国の主要政府機関関係。韓国には政府への不信任決議権や、大統領による国会解散権はない。 |
国会は法律案や予算を審議します。予算は大統領・閣僚らで構成する政府が作成したものを審議します。国会は政府の同意なしに、予算の増額や新しい費用項目を設けることができません。法律案については国会議員・政府両方に提出権があります。
国会によって議決されたものの、大統領によって拒否権が発動された法律案については、国会在籍議員の過半数が出席したうえで、出席議員の3分の2の賛成による再可決によって、拒否権を覆し、法律として確定することができます。
国会での実質的な審議は、日本と同様、委員会によって行われます。委員会で可決された後、法制司法委員会というところで法律的な体裁を整える審査を受けたのち、本会議にかけられるところがユニークなところです。
日本と同様、国会の形骸化は韓国でも問題になっています。特に韓国では、大統領や政党幹部の力が非常に強いため、国会議員の独立性が低く、国会審議があまり活発でないことが指摘されています。
国会議員選挙は日本同様、選挙区と比例代表区選挙が行われています。選挙区は小選挙区制、また比例代表選挙は全国1単位で行われています。
韓国の政党政治
2007年2月時点での韓国国会の政党別議席数。参考:日本外務省サイト。 |
2004年、大統領弾劾訴追が大きな政治問題となるなか行われた総選挙において国民の支持を集め、過半数をこえる第一党となりました。
しかし、徐々に支持率が低迷。それとともに内紛も生じ、今年2月に党員が新党結成のため大量に脱党。ウリ党は過半数を割るとともに、第1党の座も保守系ハンナラ党に譲りました。
また盧武鉉大統領がウリ党を「離党」したため、正確にいうと「与党」とはいえない状況となっています。
現在の第1党ハンナラ党は保守系政党で、「大いなる国の党」という意味を持ちます。1997年に保守系政党が結集してできました。しかし、大統領選挙では2回とも敗北しています。
盧武鉉大統領の訴追にむけて積極的に動いた政党で、軍事政権時代からの流れを組む政治家も所属しています。国会議員選挙や地方選挙には強く、現在勢いをましつつあります。
他には、「中道改革新党推進の集まり」、民主党、民主労働党、国民中心党がありますが、ウリ党やハンナラ党に比べると党勢は小さく、事実上の2大政党制といっていいでしょう。
もっとも、韓国は政党の離合集散が日本以上に激しいところがあり、今後、ウリ=ハンナラの体制が続いていくのか、それともまた大きな政界再編成が起こるのか、注目されるところです。
司法と地方制度
司法は、「法院」とよばれる裁判所が管轄し、最高裁判所にあたるものを「大法院」といいます。大法院長は国会の同意を得て大統領が任命します。もっとも、違憲審査はここではなく、憲法裁判所という特別な裁判所で行われます。違憲立法審査だけでなく、大統領などの弾劾審査、政党の解散審査も行われます。国会で選出された裁判官3名、大法院長が指名した裁判官3名で構成され、長官は国会の同意を得て大統領が任命します。
地方は、基本的に9つの道に分かれていますが、ソウル特別市と、6つの広域市は、道から独立しています。道のもとに市・郡があります。
議会の議員と首長は日本同様、住民の直接選挙で選ばれています。もっとも首長は、3期までしか勤められないことになっています。
次ページでは、韓国の政治情勢についてみていきましょう。