社会ニュース/よくわかる時事問題

「AIG」はなぜ救済された?

アメリカの金融当局がAIGを救済へ! FRBとニューヨーク連邦準備銀行は9月16日、経営危機に陥っていた同社に対し、巨額の融資を決定。リーマンの破綻は容認したのに、AIGにはなぜ救いの手を差し伸べた?

執筆者:志田 玲子

FRB らが最大9兆円の巨額融資へ!

アメリカの金融当局が保険大手AIGを救済へ! FRB(アメリカの中央銀行)とニューヨーク連邦準備銀行は9月16日、経営危機に陥っていた同社に対し、最大850億ドル=約9兆円の融資に踏み切ることを決定。政府がAIG株式の約8割を取得する権利を確保し、公的管理の下で経営再建を支援します。AIGは、15日のリーマン・ブラザーズ証券の経営破綻を受けて資金繰りが悪化。その前日には、FRBへの約4兆円のつなぎ融資申請などを発表しましたが、当のFRBはこれを冷たく拒否! それがなぜか一転、申請額の2倍以上に及ぶ巨額融資に踏み切った背景を探ってみると……

AIGとリーマン、明暗を分けた理由とは?

同じ民間金融機関でありながら、リーマンの破綻は容認する一方で、AIGにはなぜ救いの手を差し伸べた? AIGといえば、世界130カ国で事業展開するガリバー保険会社。日本でも、アリコジャパンなど生損保5社を運営し、順調に業績を伸ばしています。そんな巨大企業が破綻に陥れば、既に不安定化している金融システムが動揺するのは必至! 総資産が106兆円を超え、各国に多数の保険契約者を持つAIGが破綻した場合、世界的な金融恐慌を引き起こす恐れがあるということですね。一方、リーマンの総資産は約64兆円と、AIGよりは小規模。また、同社の経営危機は数カ月の時間をかけゆっくり進行しており、「対処できる時間的余裕はあったはず」(アメリカの金融当局者)。AIG救済は、典型的な「too big to fall」(大き過ぎてつぶせない)ケースと言えそうです。

【関連サイト】
「リーマン」はなぜ破綻した?
検証!「サブプライムローン問題」とは?
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「株安」は、どこまで進むのか?
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